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10年新規事業に携わり感じていた、人間中心のアプローチの悩みが解消された

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人が資産と言われる広告界。人材育成は、広告界に属する企業に共通する重要課題だ。社員のスキルを伸ばし、成長を続ける企業に人材育成の方針を聞く。

日本特殊陶業は、1936年創立の、内燃機関向けのスパークプラグやセンサ、医療、環境分野で製品を展開する総合セラミックスメーカーだ。現在、海外売上比率が8割を超え、ソリューション事業も手掛け始めているという。

同社のマーケティング体制は、各事業領域にマーケティング機能を置く形をとっている。そのうえで、『事業の垣根に固執しない、幅広い新規事業の推進』を目的に、10年前から新規事業を担う部門が新設され、2020年4月にはイノベーション推進本部として改編。この部門の本部長をシリコンバレーから迎え、グローバルな視点で積極的な活動を求められているという。

このイノベーション推進本部に在籍する泉谷氏は、入社25年目だ。始めの約15年間はセラミック半導体部品の営業を、愛知、東京、ダラス、コスタリカで経験したという。その後約10年間は、現在のイノベーション推進本部の前身である新規事業部門で、新規事業提案プログラムの事務局を担当してきた。

日本特殊陶業
イノベーション推進本部 戦略マーケティング部
泉谷 周生氏

2012年に、この新規事業プログラムに関わったきっかけは、当時の社長に向けたプレゼンテーションであったという。「弊社がよりイノベーティブな組織となり、事業を発展させるために、本職以外の研究も奨励する『10%ルール』などを導入し、意欲ある若手に機会を与える必要がある」と提案したことが始まりだったと話す。イノベーションを生み出すことを目的とした社内研修のプログラムと合わせて企画・運営し、予想以上に反響があり、多くの人材が育ったという。

2017年からは、組織変革から新規事業の実現に業務の軸足が移った。「弊社の新規事業マーケティングでも、自社の技術などのシーズだけではなく、顧客のニーズをベースとした事業企画を行うようになってきています。その流れの中で、新しい事業企画のアプローチを試みていきました。具体的には、人間を中心に考え、ユーザーのペインポイントを見つけてソリューションを探す、いわゆるデザインシンキングの取り組みです。行動観察やユーザーインタビューの実施、プロトタイプでのホームユーステスト・展示会での検証などを行い、事業企画を進めました」という。

このように約10年間 新規事業に携わっていた泉谷氏であったが、特にここ数年悩みがあったという。「これまで法人営業と新規事業を25年経験してきましたが、自分のマーケティングの力量に課題感を覚えていました。例えば、『お客様の本当の課題やインサイトを、どうやって掴むのが良いのか?』、『目に見えず手触りもない商品の魅力を、初期検証の場面でどう伝えれば良いのか?』現状では、これらを上手くできている実感が薄く、まだまだできるはずだ、と思っていました」と話す。

他にも、新規事業担当ならではの悩みがあったという。「事業をアイデアで終わらせず実現し、また持続的に成長させるためには、企画が常識的過ぎてはいけないし、独りよがりでもいけない。両者のバランスはどうあるべきなのか、数年間もやもやしていました」という。

こうした中で、偶然20年9月開講の『オンライン開講 第30期 マーケティング実践講座』のカリキュラムを目にすることになった。「これまでも新規事業やマーケティングについて、研修や書籍で学び続けていたため、この講座のカリキュラムが充実していることはすぐ分かりました。また、これは余談ですが、講座がオンライン開講したため、コロナ禍で東京に行く心配が要らず、講義の直前まで別の仕事ができる点にも、受講の背中を押されました」という。

そんな泉谷氏は、講義内容を毎週欠かさず社内にフィードバックすることで、受講期間中に新たな新規事業の企画が大幅にブラッシュアップできたという。

「まず、毎週講義で学ぶことにワクワクしていました。広い意味でのマーケティング活動のあり方、お客様の課題解決に欠かせない視点が得られました。この気持ちを部門のメンバーに共有したいという思いが途切れませんでした」という。

「やはりマーケティングは人が中心なんだ、と感じました。各講義で『インサイトは対象者の文脈で捉えることが重要』であることや、『生活者としての課題を考えること』を座学と演習を通して繰り返し学べました。以前から気を付けているつもりでしたが、アイデアを考える時にメーカー目線になってしまっていることに気付かされました。一方、衝撃だったのは『マーケターとして一番大事な姿勢は笑顔でいることです』と言われたことです。マーケターの心のあり方・生き方が、ブランドとして事業に色濃く反映されるんだ、と改めて気付かされました。ユーザーの視点、我々自身の想い、バランスをとりつつ両方に意識を置く—人間中心とはこういうことか、とこれまで悩んでいたことについて、確かな視点を得られました」と話す。

そんな泉谷氏は、個人としての働き方に変化が起こせたという。「事業企画をする際、まず対象者にとっての課題を見つけて、その課題を解決する企画を考えます。その際に、この洞察が上手くできているかどうか、チェックする視点を身につけることができました。具体的には、生活者視点で、自分の企画にどんな意味があるか、冷静に考え直せるようになったと感じています。他にも講義の学びを実践することで、これまでインプット偏重になりがちだった実務を、アウトプットの量が増え、バランスを取ることができるようになってきました」という。

そして、毎週 チーム内に学びをフィードバックしてきたことで、チームとしての成長もあったと話す。

「これまでも新規事業をユーザー中心に考える重要性は認識しているつもりでしたが、以前はメンバーで『人間を中心に事業を際立てる』イメージを共有しきれてはいなかったと感じていました。それが、講座の学びをフィードバックしたところ、反響が大きく、今では理想の状態に対して、『それってこういうことだよね』と簡単な言葉でもチームで共有できるようになったと感じます。このように、組織としてマーケティングに対するリテラシーを高めていくきっかけにもなっています」という。

毎週 講義の学びを欠かさずにフィードバックし続けた様子

また、「同僚の企画に意見を求められた時に、『ユーザーにとってどんな意味があるでしょう?』『事業を通して何を実現したいんでしょう?』といった言葉を、状況に応じ、自信を持ってかけられるようになりました」という。

また、修了から2ヶ月の今、受講当時を振り返って最も印象深いことを聞いた。「グループワークが印象に残っています。というのも、グループメンバーの方は、コピーライティングに優れた方や、すぐデザインできる方など、自分の足りないスキルを持った方ばかり。そんな方々と一緒に課題に取り組んだことで、『自分が身につけられるスキルに伸びしろがあること』や『社外の人と繋がる機会を積極的に設ける価値』に気付いたからです」と話す。

そんな泉谷氏に2021年の抱負を聞いた。「今、自動車産業において、EVへのシフトなど外部環境が大きく変化しています。こうしたなか、弊社が発展していくためには、セラミックを活かしたモノだけではなく、社会課題を解決するコトもつくって提供していくことが必要なタイミングだと感じています。長期経営計画においても『Change with Will!!』と、社員一人ひとりが意思をもって変革させていくことが求められています。講座のグループワークのように、他社の方ともコラボレーションしながら、社会を良くする事業を企画・検証して、数多く世の中に出していきたいです」と語ってくれた。

マーケティングの実践スキルを体系的に習得するため、泉谷氏が受講した講座は……
「オンライン開講 マーケティング実践講座」でした
 
宣伝会議のマーケティング実践講座は2021年で18年目、31期で3,410名以上の修了生を輩出。
人気の秘密は、現場最前線の講師陣がサポートするグループ演習。
実務の領域に迫るリアルな課題に取り組む中で、マーケティングへの理解を一層深めることができます。

 

<次回の開催日程 〔オンライン開講〕>
■講義日程
第32期 2021年3月22日(月)開催
■受講定員
50名を予定
 
詳細はこちら
 
お問い合わせ
株式会社宣伝会議 教育事業部
MAIL:info-educ@sendenkaigi.co.jp