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東急ハンズ、アバター接客で売上170%も達成 年内には本格導入へ

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東急ハンズは3月1日、東京都内でアバター接客に関する実証実験の第三弾を開始した。1人の販売員がリアル店舗で接客をしながら、他店舗でのアバター接客もこなす初めての取り組みで、期間は3月28日まで。年内には対象店舗を拡大し、本格導入を目指す。

同社のアバター接客に関する実証実験は、2020年6月に新設したDX推進本部が中心となり、NTTデータSDDX事業部の協力を得て推進してきた。コロナ禍で対面での接客が難しくなるなか、アバターを使うことで非接触のまま接客をすることができる取り組みだ。10月~12月に実施した第二弾では売上が前年同期比170%となった店舗もあり、その効果も実証されている。

アバター接客専用タブレットが設置された、東急ハンズ渋谷店の特設コーナー。

今回の実験は、渋谷・東京・横浜の拠点3店舗の店頭に立つ販売員が、別の9店舗の買い物客に対してアバター接客をするというもの。販売員は、東急ハンズに10人在籍する実演販売専任の「ヒントショー・スタッフ」。売場経験が豊富なヒントショー・スタッフの接客をリアルとオンライン両方で展開し、売上向上につなげたい考えだ。

対象商材は、“除菌ボックス搭載”が特徴の「Keepack」のバッグ。主なターゲットは若年層の男性だ。同社が新生活シーズンに合わせて販促を強化している商品で、各店舗では「バイヤー厳選!新生活バッグ マストバイ」として特設コーナーを設置し、棚づくりも統一している。

店頭で、タブレットに表示されたアバター「きむらくん」の接客を受ける様子。

アバター接客は、店頭の特設コーナーに設置されたタブレットを通じて行う。買い物客は、アバター販売員「きむらくん」が表示されたタブレットの画面から、遠隔で店員を呼び出すことができる。呼び出しがあると、拠点にいる販売員が接客専用のタブレットで応答し、キムラくんになりきって接客する。販売員はリアルタイムで各店舗の様子を見ることもできるので、接客の機会があれば販売員側から声をかけることもできる。

他店舗にいる買い物客に、アバターを介して接客する販売員。タブレット上でアバターの表情を操作することもできる。

渋谷店の販売員として実験に参加したヒントショー・スタッフの安土知宏氏は、「以前には本社からアバター接客をする実験も行いましたが、店頭に立ちながらでも対応できそうです」と話す。

3人の販売員がアバター接客で対応する「9店舗」という店舗数も、これまでの経験を基に決めたという。「実際に運用してみて、やはり手の空いている人が対応できる仕組みなのであまり困ることはありません。どうしても対応できないときは、タブレットに『現在接客中です。時間をあけてご利用ください』というメッセージが出るようになっています」と説明する。

同社DX推進本部デジタル戦略部長の本田浩一氏は「東急ハンズは元来、接客サービスを大切にしてきました。ですので、“接客のDX”によって全国の店舗で一流の販売員の接客が受けられるようになればと思っています」と明かす。また、「販売員の少ない店舗では、お客さまをタブレットまで誘導して、後の接客をアバター(ヒントショー・スタッフ)に任せる、といった使い方もできます。販売員がその接客を横で聞いていれば勉強にもなりますよね」とも話す。

アバター接客の様子はすべて録画されているため、接客データを活用することもできる。POSデータと照合することで売上への影響を分析することができるほか、接客タイプの分析や接客スキルの共有などにも活用できる。

本田氏によると、これまで毎回販売する商材の価格帯やターゲットを変化させ、アバター接客に適した商材を探ってきた。具体的には、第一弾(2020年6月1日~15日)では1500~2500円の女性向けコスメ、第二弾(10月16日~12月15日)はハンズオリジナルコスメブランドの“muqna(ムクナ)”およびファミリー層をターゲットとした5000円程度の加湿器、第三弾は1万5000円程度の男性向けバッグ。今後はこれら結果を基にアバターの数を増やし、本格始動させていく。