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日本コカ・コーラ、アテンションデータの活用でCMのエンゲージメント向上に成功

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テレビの視聴質データを提供するTVISION INSIGHTSは3月2日、ウェビナー「マーケター必見! 日本コカ・コーラに学ぶ 成功につなげるためのCMクリエイティブ分析&制作の最先端事情」を開催した。ウェビナーには同社代表取締役社長の郡谷康士氏と日本コカ・コーラ ICX コンテントディベロップメント ディレクターの九鬼裕隆氏が登壇。日本コカ・コーラが実践する、「アテンションデータ」をもとにしたテレビCMのクリエイティブ改善の取り組みについて解説がされた。

【登壇者】

日本コカ・コーラ
ICX コンテントディベロップメント ディレクター
コミュニケーション戦略立案、コンテンツ開発・制作責任者
九鬼 裕隆 氏

 

TVISION INSIGHTS
代表取締役社長
郡谷 康士 氏

 

「誰がテレビの前にいて、ちゃんと見ているか」を可視化

セミナーの冒頭、TVISION INSIGHTS代表取締役社長の郡谷康士氏はまず、同社が独自に提供する「アテンションデータ」について説明。「誰がテレビの前にいて注視しているのか」を可視化するデータで、「テレビをしっかり見ている瞬間(アテンション)」が分かるという。アテンションデータには、テレビの前での視聴者の滞在時間(滞在度)を表す「VI」と、その視聴者のうち何割がテレビを注視したのか(注視度)を表す「AI」の2つの指標がある。

 
データの収集方法については、人体認識技術を搭載した調査機器を家庭のテレビに設置して、その世帯に住む個人を自動で識別し1秒ごとの視聴データを蓄積する、と説明。調査パネル数は、関東1都6県が1000世帯、関西(大阪)が100世帯となっている。このパネル構成は、関東の人口比率に合わせた構成。データは365日24時間蓄積される。ひと家庭で最大6人まで同時にデータを取得でき、メガネやマスクを着用したり、寝転がったり、暗がりで視聴していても測定できる。

郡谷氏によると、分析対象の放送局は地上波6局7チャンネルとMX、BSデータの全番組。創業年である2016年以降のすべてのCM・番組枠のデータを保有していて、その数はCM7万本、番組枠350万投下枠に上る。「データインフラとして活用されているお客さまもいらっしゃいます」と郡谷氏。

 

エンゲージメント向上にはアート×サイエンス

ゲストとして登壇したのは日本コカ・コーラの九鬼裕隆氏(ICX コンテントディベロップメント ディレクター)。2014年から続くジョージアのCMシリーズ「世界は誰かの仕事でできている」など、数多くのキャンペーンを手がけており、2020年は同社のコカ・コーラの新CM「この瞬間が、私。」の制作も統括。コンテンツ制作の立場にありながら、自身を、「クリエイティブの人間ではなく、戦略家。企業のコンテンツ・メッセージを消費者の言葉に変換する通訳者」と語る九鬼氏は、データから消費者がどのように反応をしているのかを分析して、それを戦略化する立場にある。

 
同社は、このアテンションデータを導入する前までは、CMを投下前に消費者に見せて評価してもらう調査や、投下後にキャンペーンのトラッキングで認知度や購買意向度等を測るなどしてCMのパフォーマンスの分析を行っていた。しかし、そうしたデータだけではテレビCMの見られ方や、クリエイティブが実際どのように受け止められたのかなどまでは分からない。九鬼氏は「だからこそアテンションデータを紹介された時は、『こういうデータを待っていた!』と思った」と話す。

「コンテンツを使って消費者とのエンゲージメントを高めるには、アートとサイエンスの掛け算が重要。データだけでは人の心に刺さるものはできませんし、我々の主観や押し付けだけになると、ただのアート作品になってしまいます。定量的なデータから、どういうクリエイティブの時にどのような結果が出るのか、しっかり紐づけて分析する必要があると感じていました」と九鬼氏。アテンションデータは、コンテンツのどの部分に消費者を惹きつけ、メッセージを納得してもらうだけの力があるのか、数字で見ることができる画期的なデータなのだ。

日本コカ・コーラの2つの成功事例

では、九鬼氏は実際どのようにアテンションデータを活用してCMクリエイティブの制作&改善をしているのか。2つの事例を紹介した。

そのひとつがプルタブを開けると“当たり”が出る、ジョージア「運試し缶キャンペーン」のCM。アテンションデータを基に、音の強弱や掛け声、キャンペーンテロップを秒刻みで配置。その結果、後半になるにつれてアテンションが上がり、最も伝えたいキャンペーンテロップ部分が最も注目される理想的なCMに仕上がったという。

 
もうひとつは「紅茶花伝 CRAFTEA」のCM。このCMの訴求ポイントは、「こだわり素材」とそれらが組み合わされてつくられていく「プロセス」だったが、2020年3月に放映したCMは好評だったものの、AI値をみてみると、タレントシーンでのみ上昇し、訴求ポイントの物性価値の部分では下降していたという。そこで、このまま10月も同じものを放映してよいのかということになり、このデータをもとにクリエイティブチームも含めて、訴求すべき要素の整理、クリエイティブの改定が行われることになった。

そして、タレントの表情や背景シーン、印象的な音の構成、素材の自然な動き、視認できるカット割りといった「シズルで注視を落とさない5つの要素」を抽出。AI値を指標としてそれらを構成し、演出に活かした結果、訴求ポイントのシズル部分でAI値が回復、エンゲージメントが向上したという。

 
郡谷氏は、「我々のデータを読み解き、うまく翻訳して戦略に落とし込んでいただいたことで、アテンションデータの可能性を示していただくことができました」と振り返る。

次ページ 「より直感的なテレビデータ活用も可能に」へ続く



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