野老朝雄氏がデザイン、回収プラスチックから東京2020表彰台ができるまで

先端技術を磨き「サステナブルな大会」へ

こうして今回、98台の表彰台が制作された。輸送パートナーのヤマト運輸の協力のもと、会場間輸送をする前提で数を最小限に抑えた。ただし将来的にサステナビリティを考慮した大会を実現するためには、そもそもの製作数を減らす可能性も追求したいところだ。

現時点では組織委から明確な方針が示されていないというが、大会を終えたあとの活用も課題のひとつ。廃棄して再びごみを増やすのではなく、何らか有効活用できる手段まで考えてこそ“サステナブル”といえるだろう。

野老氏はコンセプトとして、大会後にさまざまな活用ができるよう案を練ってきた。「たとえばキューブを分解して各国に持ち帰ってもらう。あるいはどこかで保存・展示するといった再利用の展望まで提案していました。今回のプロジェクトでは予算や耐久性などの与えられた条件のなかで最善となるよう取り組みましたが、プラスチックのリサイクル方法は今後も課題となるでしょう。10~20年かけて次の世代が解決していくにあたり、今回はその検討のきっかけをつくる大会であるべきですし、企業にもこういう活動を続けてほしいですね」と野老氏。

大会延期によって1年以上倉庫に眠っていた表彰台がようやく世に出たという喜びを感じるとともに、「アスリートの皆さんがこの台の上にのぼって初めて完成するもの」と野老氏は話す。アーティストとして「繋げる」をテーマに紋様を創作してきたからこそ、エンブレムとともに表彰台も次世代へと“繋がる”ものにしたいという考えがある。

「子どもや孫など次の世代に繋がっていく、サステナブルな未来を考えるきっかけになれば。同時に、今回、田中先生や平本さんたちが取り組んでいるような新しい科学技術の研究に国としてもっと投資がなされ、次の世代で定着するビジネスが生まれる契機になれば嬉しいです」(野老氏)。

東京2020オリンピック・パラリンピック 表彰台メイキング映像
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