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ついに始まったデジタル広告の転換期 重要なのは業界全体が課題に向き合うこと

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2009年の創業以来、世界で何千もの広告主企業をアドベリフィケーションでサポートしてきたIntegral Ad Science(IAS)。デジタルメディア品質における信頼性と透明性の提供をミッションに活動を続ける同社が考えるこれからのアドエクスペリエンスについて、日本での業務を統括するカントリーマネージャー 山口武氏に話を聞いた。

デジタルだと過小評価される「どこ」に出るか、という論点

デジタル広告を巡る議論には取引の透明性や広告品質、さらにクッキー利用の規制が進むなかでのターゲティングの精度など、多様な問題がありますが、KPIの設定を短期的な成果ではなく、メディア品質と広告投資効果を評価するものへとシフトできるかが鍵になると考えています。

現状のデジタル広告は単価効率を極端に重視するあまり、行動履歴データを使い、「枠」から「人」へのターゲティングを推進してきました。その結果、マス広告では当たり前に把握できていた、広告が「どこに出ているか」という点を配慮する視点が欠落してしまっているのです。

雑誌もテレビも屋外広告も、どのような場所に出るかは非常に重要です。しかし、デジタルでは「どこ」の部分が過小評価され、配信の単価効率だけがKPIとして使われた結果、安く多く出すことに偏重しました。結果として粗悪なサイトへの配信や、偽装されたクリックやインプレッションが増え続けているのは、日本のデジタル広告業界全体の課題です。

世界的な潮流であるクッキーの利用規制は、広告主が品質の高いインプレッションとは何かを考え直す良いきっかけになると考えています。

改めて配信面と向き合うことで、ブランドセーフティーの担保はもとより、企業が発するメッセージと親和性の高いコンテクストの重要性も見直されていくでしょう。

ユーザー視点で問題だと感じるのは①執拗なリターゲティング広告②信憑性がなく、違法にタレントなどを起用している広告 ③支持しているブランドが公序良俗に反するサイトで広告を出している、の3点。

①、②ともにかなり不快に感じる問題ですが、3つ目の課題は特にアドベリフィケーションが大きく貢献できる領域です。広告が不適切なサイトに掲載されることでブランド価値を毀損してしまうことをブランドリスクといいます。広告が表示されたがために、不適切なサイトを広告主企業がスポンサーしていると誤解され、お客さま窓口にクレームが届くケースが多発しています。アドベリフィケーションを活用することで、事前に広告配信面のブランドリスクを精査し、リスクのあるコンテンツへの広告配信をブロックすることが可能になります。

今、日本のデジタル広告業界は大きな転換期を迎えています。マーケティング、さらには経営においてもパフォーマンスを発揮するデジタル広告。品質の高いメディアへの広告投資が加速するかは広告主の意識のシフトと、業界の様々なプレイヤーの協力にかかっています。

日本アドバタイザーズ協会による「アドバタイザーズ宣言」やJICDAQ設立といった協会団体の動き、政府による問題提起も後押しになると期待しています。

Integral Ad Science Japan
カントリーマネージャー
山口 武 氏