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人ではなく、コンテクストにターゲティング クッキー利用規制が技術の進化へつながる

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日本アドバタイザーズ協会「デジタルマーケティング研究機構」が2020年に発足した「ネット広告健全化推進プロジェクト」にも参画する日本オラクル。グローバルの広告配信のトレンドにも精通し、国内独自の事情にも精通する谷野百合佳氏にポストクッキー時代のデジタル広告市場の展望を聞いた。

広告体験の質向上がポストクッキー時代を生き残る鍵

昨今、日本でも話題に上がることの多いポストクッキー時代への対応。

3rdパーティークッキーが利用できなくなることで、広告主であれば広告効果にどのような影響を与えるのか。またメディアであれば収益にどのような影響があるのか。こうした問題はそう遠い未来のことではなく、早めに対策を考えていったほうがいいと考えます。

例えば、ポストクッキー時代に移行すると、ユーザーにとって関連性の高い広告を配信することが困難になってくると予測されます。そうするとユーザーの興味関心と全く関連のない広告が多く表示されることが多くなり、結果アドエクスペリエンスの低下につながる懸念が考えられます。

グローバル全体での広告ブロッカーツールの使用率は40%と言われています。日本では20%と先進国の中では最も低いほうですが、広告表示体験に問題を感じるユーザーが増えていけば、その普及率もグローバル平均に追いついていく可能性が考えられます。

仮にこうした時代が訪れた場合、どのような代替手段をとっていくべきなのか?あらゆるシナリオを想定しておくことが大事です。

広告主であれば、ポストクッキー時代の代替手段として注目されているのがコンテクストターゲティング技術です。人にターゲティングすることが難しくなってくるので、今後、コンテクストにターゲティングして広告を配信していくという方法がトレンド化していくだろうと予測されます。こうすることで、ポストクッキー時代においてもユーザーの興味関心に近い広告を配信することが可能になります。

メディアであれば、今までリターゲティング等で高く買われていたインプレッション収益が低下する可能性があるので、それをカバーするための商品を設計することもひとつの対応策です。例えば欧米諸国のパブリッシャーには、インビュー保証や時間保証など、従来からあるインプレッション保証型など「量」を重視した商品設計から、「質」を重視した商品に移行している事業者も登場してきています。我々のアドベリフィケーションツールの統計でも、グローバルでの広告インビュー率は年々平均値が上がってきています。

大音量の動画広告が流れる、大量の広告が1カ所に表示されるなどの広告体験が問題であるだけで、しかるべき広告をしかるべき人に配信していれば、きちんと広告は見られるということが数字になって現れているのです。

テクノロジーを活用してアドエクスペリエンスを業界全体でケアしながら守っていくこと。それがポストクッキー時代にますます必要になってくると思います。

日本オラクル
シニアアカウントマネージャー
谷野 百合佳氏