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販促・リテール畑から桜美林大の准教授に 実務家教員への道

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人生100年時代・生涯現役時代に向けて、キャリア形成における新たな形態として注目されているセカンドキャリア。そのセカンドキャリアの選択肢として、経験豊富な企業人を大学で教授・准教授などの教員として迎え入れる「実務家教員」が注目を集めています。

企画概要

※教育人財開発機構では、高等教育機関で活躍されているさまざまな実務家教員にインタビューを行い、転職のきっかけやお仕事内容、やりがいなどを紹介しています。

今回は、2018年より桜美林大学で実務家教員に就任された向坂文宏(こうさかふみひろ)准教授を取材。業務についてはもちろん、実務家教員を目指したきっかけややりがいについてお話しいただきました。(教育人財開発機構 編集部)

 

〈実務家教員になるまで ~Before~〉

Q:これまでのご経歴について教えてください。

大学院卒業後、凸版印刷に入社し、アートディレクターとしてプロモーションツールやカタログを製作しました。その中で、「もっと上流工程から製作に携わりたい」と思い、電通テックに転職することを決めました。電通テックでは、企画製作だけでなく、マーケティングから納品まで広告に関する一通りの業務を担当することができ、良い経験になったと思います。そして、その経験を活かし、電通リテールマーケティングの立ち上げに参画することになりました。そこでは、一般的なマーケティングで行う業務に留まらず、マーケティングで考えられることなら何でも挑戦しましたね。というのも、マーケティングの最終的な目標は「売上を伸ばすこと」ですが、それを達成する方法は幾通りも存在します。代表的な方法は「もの(広告)をつくること」ですが、接客マニュアルを作成して販売員の接客力を向上させたり、企業内でセミナーを開いたりする方法もあります。電通リテールマーケティングでは、このようにマーケティングで考えられるあらゆる方法を模索し、クライアントのニーズに合わせた最適なマーケティングプランを提案しました。当時は大変でしたが、この経験が今、実務家教員の仕事に活きていると感じています。

Q:実務に携わりながら静岡産業大学、相模女子大学で非常勤講師として教鞭を執っていたと伺いました。非常勤講師を務めることになった経緯について教えてください。

大学院時代の先輩が静岡産業大学で教員として勤務されていて、その方にお誘いいただいたことがきっかけです。会社員時代、セミナーや講演を多数行っていたので、「学生にもプロモーション業界の授業をしてほしい」と相談されました。そうして、毎週金曜日に非常勤講師として教鞭を執ることになりましたが、仕事との両立に苦労しました。金曜日は始発の新幹線で静岡に移動して授業を行い、お昼には東京の会社に戻るような生活を送っていましたね。そんな生活を3年続け任期満了を迎える頃、誘ってくれた先生が他大学に異動することになり、私も大学を離れることにしました。「これで非常勤講師も終わりかな」と思っていたのですが、タイミング良く相模女子大学で働く、別の知り合いの先生から声が掛かり、非常勤講師を続けることになったのです。

Q:実務家教員を目指したきっかけは何ですか?

正直なところ、「この出来事から目指すようになった」という明確なきっかけはなく、非常勤講師と広告の仕事を両立する中でさまざまな要素が重なり、実務家教員への道を歩むことになりました。

まず、非常勤講師として働く中で、これから社会に出ていく学生に実務経験を伝える価値を知りました。社会に出る前の若者に教育をすることは、広告業界、ひいては社会全体の可能性を広げる意義のあることだと感じたのです。それと時を同じくして、仕事においても新卒・中途入社の社員教育、社外の若手業界人を対象としたセミナーなどに関わる機会に恵まれ、そのたびに後進を育成する大切さを感じました。つまり、私は「学生や後進の育成」に魅力を感じつつあったのです。

ちょうどその頃、社内で年次が上がってきていたので、「部下の育成」や「自身の業務」に加え、「会社の経営層への提案」を行う機会も増え、多事多端な状態に陥っていました。こうして社内でやるべきことが増える一方、人間は欲張りなもので、「店舗マーケティングの世界でPOP広告をもっとやっていきたい」「教育にもっと力を注ぎたい」など、個人的にやりたいことも出てきました。しかし、やるべきこととやりたいことを同時に進めることは難しく、到底現実的ではありませんでした。また、当時の私にはもう1つ気がかりなことがありました。それは「私の存在が後輩の出世を邪魔しているのではないか」ということです。優秀な若手にもっと活躍してもらいたかったので、「いつまでも同じポジションに居座らず、活躍の場を後輩に譲らなければ」とも思い始めていました。

以上をまとめると、このときの私は「学生や後進の育成に魅力を感じている」、「やるべきことに忙殺される一方、やりたいこともある」、「若手の活躍を邪魔したくない」という思いが、頭の中で複雑に重なり合い、これから何をすべきかわからず、まるで出口のない迷路に迷い込んで抜け出せないような状態でした。そんなとき、偶然桜美林大学の公募を発見し、物は試しと挑戦してみることにしたのです。そして、うれしいことに内定を頂き、「これはご縁だ。流れに身を任せよう」と、実務家教員の世界へ足を踏み入れることになりました。

Q:選考について、内容や工夫したポイントを教えてください。

 

こちらの記事の続きは、
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