長期視点での取得・活用計画が鍵 データ規制時代の企業のふるまいとは?

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DX推進の必要性が叫ばれながらも、実行フェーズに移れていない企業が多く存在する現状。創業時からデータと共にビジネスを行ってきたマクロミルでデジタルテクノロジーズ事業本部 本部長を務める後藤新氏に、国内企業のデータ利活用における課題を聞いた。

段階的な“還元”により顧客との関係性を構築する

スマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスの浸透、さらにはコロナ禍におけるEC市場の伸長など、企業と生活者の接点が大幅にデジタルシフトするのに伴い、生活者に関わるデータは増え続けています。それゆえ、多くの企業で取得したデータを活用しきれないという課題が生まれています。

データを扱える人がいないのに、とりあえずデータを収集・購入してしまい、もて余す。マクロミルではそのような相談を受けるケースも多いです。データを扱える人材の不足は、日本全体の課題と言えるでしょう。

人材不足に加え、これから発生するであろう課題が、データ取得におけるハードルが上がること。以前は企業が無料でデータを取得し、自由に使用できるケースも多くありました。しかし、GDPRやクッキー規制など、様々な制限により、サードパーティーデータの利用が難しくなり、データ利活用にかかる人的コストや金銭的コストが増大。社内での決裁も通りにくくなると予想しています。

このような状況下でマーケターに必要になるのは、KGI、KPIといった指標を設定し、中長期的な計画の中でいかにデータの活用が売上・利益に貢献できるかを描く力。データ活用を経営戦略とつなげて語ることができる人が、今後上手くデータを使っていけるのだと思います。

データを収集・使用する際、消費者への説明や許諾の取得が必要になる流れの中で、企業がデータの利活用を推進するためには、まずは自身のパーソナルデータを預けてもよいと顧客に思ってもらえるだけの関係構築が必要です。データを預けてもいいと思ってもらうには魅力的な価値の提供、つまりはCX(カスタマー・エクスペリエンス)を向上させることが求められます。

しかし、CX向上といっても、例えばそのサービスを使う前、あるいは使いはじめたばかりの消費者に納得してもらうのはとても難しいものです。その場合、当社でも行ってきたことですが、ファーストステップとしては、金銭的謝礼や特典を用意して、消費者へわかりやすく還元するのもひとつの方法だと思います。そして、消費者と関係性ができた後に“CX体験”として還元する。このように段階的に考えることも必要だと思います。

データを「提供してもよい」ではなく、「提供したい」と顧客に思ってもらえる企業やブランドはとても強いです。自身のデータを商品やサービスに反映してほしいと思ってくれる熱心なファンを増やし、長期的な関係性を構築できるようなコミュニケーションやマーケティング施策は、データの利活用に際しても重要となるのです。

そう考えると、今後、データを集められる企業とそうでない企業の二極化が進む可能性も考えられます。このような分断を避けるためにも、我々のようなデータ取得や取り扱いのノウハウを持つ企業がサポートしていければと思います。

マクロミル
デジタルテクノロジーズ事業本部 本部長
後藤新氏

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