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データの利用規制とDX推進の流れが企業のデータ利活用に“個性”をもたらす

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サードパーティークッキーの利用規制が進む一方、コロナ禍によりオフラインからオンラインへと顧客接点がシフト。個々の企業が、よりデータを取得できる状況になった。企業のデータ利活用戦略に今、どのような方向転換が必要なのか。Polar FoxでCEOを務める谷本雄紀氏に考えを聞いた。

脱・ターゲティング時代 顧客視点で多様な活用方法を

これまでは、サードパーティークッキーなど、比較的容易にデータを取得し活用できました。これによりOne to Oneマーケティングを重視する風潮が企業に生まれ、ターゲティング広告の活用が盛んに。その結果、行き過ぎたターゲティングにより、広告に追いかけ回されることに対してナーバスな感情を持つ消費者が生まれるという課題が見られるようになりました。

私は、サードパーティークッキーをはじめとするデータ規制と、コロナ禍でさらに加速したDX推進が重なったことで、今後は各社がターゲティング広告に頼るのではなく、それぞれの商品・サービス特性と自社が抱える顧客にあわせたデータの使い道を検討し、データ利用方法が多様化していくのではないかと考えています。そして、この脱・ターゲティング時代において、マーケターにはこの新しいデータの活用方法を検討する力が求められるようになるのではないでしょうか。

その際に重要なポイントのひとつとなるのが「データを統合的な視点で見る」ことです。サードパーティークッキーの規制による制限は生まれるものの、IoTや5Gといった技術が普及することで、消費者とのタッチポイントが増え、取得できるファーストパーティーデータの種類は増えていきます。

さまざまなタッチポイントから得られたデータを局所最適で考えるのではなく、統合的に使うことで、これまでにない付加価値が生まれます。社内にあるデータのサイロ化は、今でも問題視されることが多いですが、今後はますますその解決が重要になっていきます。統合的にデータを活用できる環境・体制の整備を、当社でもサポートしていきたいと考えています。

また、個人情報の保護に関する意識は今後も高まっていくと考えられます。その上で消費者が不快にならないデータ活用を推進するには、同意にもとづきデータを取得し、取得したデータは匿名化するなどした上で、顧客体験を改善するサービスとして還元することが大切です。顧客とのあらゆる接点において、データを用いてUI/UXを改善する。企業本位ではなく、いかに顧客体験を向上できるかが鍵となります。

現在、企業がデータを取得する際に表示しているプライバシーポリシーは難解で、読む気を失ってしまうような体裁のものも多いです。これは、データ取得時に都度同意を取る手間を省くため一括で取得しようとしたり、データ取得時には使い道が定まっていなかったりといったことが原因として考えられます。

しかし、これからの時代、消費者に信頼してデータを提供してもらうには、データの利用方法を明確にし、それがサービス改善につながり消費者にとってもメリットになることを説明することが大切。データの利活用においては、利用者とともにサービスをつくっていく姿勢で、真摯に取り組んでいくことが、大きな価値につながっていくのではないかと思います。

Polar Fox
CEO/Founder
谷本雄紀氏