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フォーリンデブはっしーが考えるSDGs×食

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2030年に向け活発化するSDGsの取り組み。実践には“未来”の姿を描くことが不可欠です。本コーナーは多様なフィールドで活躍する人たちと共に、理想の未来を考えていく、連載企画です。今回は外食部門の個人としてブログやInstagramで多くのファンを持ち、“食のエンターテイナー”として活動するはっしーさん。食業界が抱える社会問題に、“楽しく”挑んでいます。

*本記事は7月30日発売の『広報会議』9月号掲載の「SDGs未来会議プロジェクト」との連動記事です。

フォーリンデブはっしー
お肉博士とお米ソムリエの資格を持ち、年間1000軒以上を食べ歩くグルメエンターテイナー。レストラン&お取り寄せグルメに特化したInstagramはフォロワー数27万人を超えるほどの人気。農林水産省の国産食材アンバサダー、総務省の地域力創造アドバイザー、UUUM株式会社の顧問なども務める。2020年3月、16年間プランナーとして在籍した電通を退社し独立。

若い世代に楽しく広める

—SDGsにどんな認識を持たれていましたか?

一般の人にとってはとっつきにくい課題と思われがちですよね。若い世代に、どうすれば楽しく取り組んでもらえるか。その機会をつくりたいと、電通に勤務していた時代からずっと考えてきました。

学生と環境にやさしいお菓子を提案
2025 年の大阪・関西万博の開催に伴い、「大阪名物となるお土産づくり」をテーマに、バンタンスクールの学生約300人が参加。監修講師として環境と食を掛け合わせた企画立案に携わった。

その一環で行っているのが、バンタン高等学院での授業です。同学では「SDGs万博」を掲げる2025年の大阪・関西万博に向け、大阪の新名物を企画するコンテストを実施していて、私も監修講師として学生たちのプロジェクトを先導しました。

そこで出たアイデアのひとつに、万博が開催される大阪湾の海洋プラスチック問題に着目し、「ハッピーターン」の包装紙を「水溶性プラスチック」にする、というものがありました。

このアイデアにはSDGsを広める上で重要な視点が含まれていると思いました。課題を伝えることから始めず、よく知られたお菓子とのコラボを入り口に、パッケージを大阪湾に見立て、大阪湾にいる魚の味をフレーバーにすることで興味を加速させ、さらにその包装紙が水溶性プラスチックになっている。

手に取った人が、なぜこの素材を使っているのかに考えが及ぶことで、大阪湾の課題を知る。そして、大阪湾の環境改善のために売上の一部を還元するという“新たなハッピーをターンする”というまとめ方も、素晴らしいなと思いました。

—学生たちの企画力もすごいですね。はっしーさんがメインで取り組まれている“食”はあらゆる面でSDGsに密接にかかわっていますが、ご自身はどのような社会問題解決に関心がありますか?

私は、「“食”は誰でも気軽に笑顔になる最強のツール」だと思っています。今重く未来にのしかかっている社会課題も、食を通じて考えれば、もっと楽しく、クリアにしていけると考えています。

最近取り組んでいるのが「大豆ミート」の普及です。今、牛のげっぷがメタンガスを含んでいることで、牛の飼育が環境問題のひとつになっています。このまま食べ続けるだけでは、大好きな牛肉が悪者になってしまう。牛肉のおいしさを「大豆ミート」で味わえる、ある意味逃げ道をつくることで、環境問題に配慮した肉との向き合い方、楽しみ方ができると思いました。

今、伊藤忠商事さんと共同し、ベジタリアンブッチャーさんが手掛ける大豆ミートの導入を、飲食店に進める活動も行っています。

—SDGsを広める際、国連は“企業が入ってこないと実現できない”としました。まさに、提供側を巻き込んだ形ですね。

まさにその通りで、企業や商品を通じて、習慣になっていくものだと思います。なのでバンタンや飲食店といった企業・団体の力を借りつつ、生活の中で提供される、触れる機会を増やすための取り組みを進めています。

生産側の課題も深刻

—1年間に1000軒もの飲食店を回るはっしーさん。現場でどのような課題を感じていますか?

飲食店でのフードロスは、コロナ禍で見通しが立たない中でより深刻になっています。しかもそれに加えて、生産者のフードロスも深刻になっているんです。需要に関係なしに育つ野菜やお肉をどうやって消化していくか。私は、生産側もなるべく販路を多く持つことが重要と思い、ふるさと納税を活用し、商品をより魅力的にする開発協力や、生産者と消費者をダイレクトに結ぶ仕組みづくりを行っています。

—フードロスと聞くと、「食べ残しを減らす」「廃棄をなくす」イメージが先行しがちですが、いわゆるサプライチェーンに対して想像力を働かせるのは非常に重要ですね。

しかし、こういう想いや意図を押し出すと、消費者は引いてしまうんですよね。入口はポップにしつつ、掘っていくとその想いが見えてくる、“秘めておく”というのがポイントかなと思っています。伝え方もそうです。誰でも分かりやすいもののなかで“エンタメのズレ”をつくって、手が出しやすいものに出来るかが鍵だと思っています。環境問題を考える上でもそこが大切だと思います。

—最後に、未来に向けて今後取り組みたいこと、メッセージがあれば教えてください。

先を見据えるのは大事ですが、今と向き合って、最大限楽しく過ごすことが前提じゃないでしょうか。楽しく過ごす先に、社会の一員として貢献する気持ちが大切なのかなと思います。あまり難しく考えすぎず、“楽しみながら”過ごす。私もその活動のきっかけづくりをしていきたいです。

聞き手:白田範史(学校法人 先端教育機構 SDGs総研 主任研究員)

フォーリンデブはっしーさんへのインタビューの様子、メイキング動画を公式YouTubeで配信中!

*SDGs未来会議プロジェクトについて詳しく知りたい方はこちらから

7月1日発売の月刊『広報会議』8月号の巻頭特集は「SDGs実践!経営変化と企業コミュニケーション」。サステナビリティ経営に取り組む意義や発信のポイントを識者に聞いた。

また、サステナビリティ経営、SDGsに取り組む、アディダス、P&G、KDDIらの事例や、サステナブルサイト制作のポイントなどを収録している。

月刊『広報会議』8月号は、全国の書店・Amazonなどで販売中。