デザインを通じて地域に根差した文化をアップデートし、根づかせたい

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地元栃木を中心に活躍するブランディングデザイナーの青栁徹氏は、郷土料理「しもつかれ」のブランド化を手がける「しもつかれブランド会議」プロジェクトを2018年1月に立ち上げ、知名度アップに取り組んでいる。

青柳氏は2015年に受講した「宣伝会議アートディレクター養成講座」の卒業制作で、「しもつかれ」の衰退を解決するデザイン案を企画し、それが発端となりプロジェクトを推進していくことに。これまでのキャリアや養成講座で学んだこと、修了後の活躍などについて聞いた。

—これまでのキャリアと現在の仕事について教えてください。

もともと出版社で雑誌広告のデザインなどを担当していました。8年目に独立し、現在はブランディングデザイナーとして、民間企業や行政、個人事業主、店舗など様々な方のブランディングの支援をしています。

前職ではクライアントと接する機会が少なかったのですが、今ではほとんどの案件で直接対峙していて、細かなニュアンスをくみ取りながらブランドの方向性やテイストを提案しています。

デザインといってもビジュアルを表現することだけではなく、クライアントの課題の本質を見つけ、解決していくことが仕事だと思っています。

青栁徹 氏
LEIGH ROUX ブランディングデザイナー
宇都宮大学 非常勤講師
JAGDA栃木代表幹事

栃木県栃木市生まれ在住。デザインにとどまらず、本質的な課題解決を目指し最善を尽くす

—アートディレクター養成講座を受講したきっかけを教えてください。

私は美大を出ておらず、出版社の仕事を通じてデザインを学んでいったので、自身のデザインスキルは周りと比べてどのくらいなのか知りたいと思ったことがきっかけでした。同世代に刺激し合えるクリエイターが少なかったこともあり、講座で第一線での活躍を目指すデザイナーと出会うことで、感度の高いセンスや先端のスキルを磨けると感じました。

また、独立して仕事をしていくに当たり、前職で培ったデザインスキルとは違ったスキルが必要だと考え、トップクリエイターの思考や仕事のやり方に触れたいと思っていました。

—講座で印象に残っていることを教えてください。

講師の水口克夫さん(Hotchkiss)や水野学さん(good design company)に、課題で制作したデザインについて意見を聞くと、「君はキャラが良いね」と言われるなど、自身のキャラクター性を評価いただけたことです。個性を評価いただけたことで、私自身のクリエイターとして方向性が見えてきたきっかけにもなりました。

また、卒業制作の演習も印象的でした。課題は「出身地の課題を解決するデザインを提案する」というもので、私は出身である栃木県の郷土料理である「しもつかれ」に着目し、それを盛り上げるデザイン企画を考えました。

「しもつかれ」は1000年以上もの歴史があり、栄養価も高く、栃木唯一の郷土料理なのですが、見た目や風味、味などが独特であるため、若い人を中心に食べられなくなっていました。県内のスーパーに置いてあるパッケージが苦手だという声を聞いたことがきっけかで、パッケージをリニューアルする案を考えました。

「しもつかれ」を4種類のフレーバーにアレンジして、重箱をイメージしたパッケージデザインにし、若い人にもポジティブな印象を与えるデザインを考えました。またせっかく作ったので、デザインの元となった栃木県のしもつかれ製造メーカーさんにパッケージデザインの提案もしました。実際の仕事にはつながりませんでしたが、今でもとても良い関係を築かせていただいています。

アートディレクター養成講座の卒業制作からアップデートされたパッケージデザイン

4種類のフレーバーも開発した

—水野さんのクラスでの卒業制作から実際のプロジェクトにつながったとお聞きしました。

はい。卒業制作で作ったパッケージデザインを自身のWebサイトに掲載していたのですが、それを新聞記者の方が見て、取材の依頼が来ました。それをきっかけに、「しもつかれ」に興味を持つ人を募集し、2018年1月から「「しもつかれブランド会議」というプロジェクトが始まりました。

—どのようなプロジェクトなのですか?

栃木県で衰退しつつある郷土料理を、ブランディングとデザインの力で、仲間と一緒に今までと違った見せ方や食べ方で、新たな価値観を提案していくプロジェクトです。料理研究家や農家さん、飲食店経営者などが参加していて、「しもつかれ」をいろいろな料理にアレンジしたりなど、ラーメン屋やパン屋、洋食屋とのコラボレーションも実現しています。独自の焼き菓子ブランドを作ったり、しもつかれ縛りのお祭りも開催、イベントで子供たちに食育として食べてもらったりなど、食べるシーンの提案も進めています。

洋食屋とのコラボレーションメニュー

独自に作った焼き菓子ブランド

しもつかれ縛りのお祭り。

また、「しもつかれ」を素材として捉え、アーティストとともにアパレルブランドも展開しています。そのような活動をきっかけに、テレビなどのメディアからも取材され、露出が増えています。

このプロジェクトはクライアントが予算をつけている仕事ではなく、「My プロジェクト」として推進しています。こういったことから、今では行政からの仕事の依頼や、大学で講義する機会につながったり、伝統工芸にかかわる仕事にも携われるようになりました。

コラボレーションしたアパレルブランド

「しもつかれアート」としても表現している

—アートディレクター養成講座での学びを活かして、これからの展望を教えてください。

講座が進むにつれ、最先端を目指すデザインよりも、自分はローカルで泥臭いクリエイティブをする方が向いていると気付きました。。スピード感よりも「デザインという仕事を通していかに文化がアップデートされるか」という視点で仕事をしたほうが自分に合っていると感じたからです。

そういった経験から、従来のネガティブな価値観を壊し、再定義して、ポジティブな印象に変えていくという考え方でクリエイティビティを発揮していくことの楽しさに気づきました。

今後は「しもつかれブランド会議」プロジェクトの海外展開や、訪日外国人が「しもつかれ」に触れていただく機会を増やし、マーケット自体を広げ、「しもつかれ」の文化をアップデートしていくように推進していきたいと考えています。

クリエイターとしての仕事の方向性に気づくきっかけを得た、青柳氏が受講した講座は……
アートディレクター養成講座でした。
 

ビジュアルを表現するだけではなく、企業や商品が抱える課題、ターゲットのインサイト、市場や社会の状況などを掘り下げて考え、世界観やトーン&マナーを統一してブランドを創り上げることがクリエイターには求められています。

本講座は、アートディレクターになるために必要なステップアップや、「考える力」「判断する力」「伝える力」といった必要なスキルを、課題演習なども通してみっちり学ぶことができるカリキュラムとなっています。

 

<次回の開催日程 〔オンライン開講〕>

■講義日程
2021年8月24日(火)開催

■受講定員
90名を予定
 

詳細はこちら

 
お問い合わせ
株式会社宣伝会議 教育事業部
MAIL:
info-educ@sendenkaigi.co.jp

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