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この世にひとりで解決できる課題はない ミレニアルズが見たSXSW(後編)

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2021年3月16日~20日にかけてオンラインで開催された世界最大のクリエイティブ・ビジネスの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)2021」にマッキャン・ワールドグループの「マッキャンミレニアルズ」から、深尾麻鈴氏、阿部菜々子氏、カーン詩芙亜氏、出口莉奈氏ら4人が参加。彼女たちの視点で、改めて「SXSW Online 2021」についてまとめた。

New World Disorder

私たちが参加したコンテンツに多く登場したキーワードが「2020 New World Disorder」でした。計り知れない経済への打撃や私たちの当たり前が崩壊したことを指す言葉です。

2020年は、それまでのトレンド予想が大きく外れ、誰もが予期せぬ状況に柔軟に対応しなければならない1年でした。新型コロナウイルス感染症の影響により、私たちの当たり前が崩れ、自粛や生死にかかわるニュースなどを目の当たりにする過程で、自分がどんな人で、どんな立ち位置いるのか、どう生きていきたいかというのを考えた方も少なくなかったのではないでしょうか。そして、これらの動きは、それは今なお続いているように思います。

かつてあったリアルなつながりが遮断された中、より強いつながりを求めるようにもなりました。しかし現在、デマの拡散や誹謗中傷など、分断を煽るような、さまざまな問題が発生しています。特に顕著なのは、ソーシャルメディアです。しかし、ソーシャルメディアは、ユーモアがあり、生活に潤いを持たせる場所であったこと、ビジネスを成長させることもできること、Black Lives MatterやMe tooのようにユーザー自身がネットワークをつくれるメディアでもありました。

ソーシャルメディアを良い方向で活用するためには、社会にルールや規範があるように、ユーザーが境界線を越えたときのメカニズムが必要です。「Unravelling the Social Dilemma」というセッションで呼びかけられていた、「それを動かすのはこのセッションを見ている『個人』なのかもしれない」という言葉がいまなお印象深いです。

新たな価値を作り出す団結

個人と言っても、単に個々の多様性を受け入れるだけではなく、個人個人が生きやすく過ごせるために、企業や人々が団結して課題を解決していくこと。それが重要ではないかと思います。Meaningful(意味のある)な団結(Solidarity)とは、まさに新しい価値を作り出すための団結だと私たちは考えます。

「みんなで頑張って良いことしよう!」と、慈善活動を促すという意味ではありません。人々が生きやすい世の中をどうつくっていけるのか。私たち広告会社の人間であれば、それをブランドと一緒に考えるだけで、そこに人が集まって少しずつマイナスがゼロに、1が2になっていくのではないでしょうか。

ニューヨークにある広告会社GREYで、P&Gを担当するプランナーのセッションでは、こんな言葉がありました。印象的だったのは、「広告業界は世界で最もコンテンツを作っている業界。私たちはとても発信力のある人間だ」という言葉です。

この時代にこの広告を流すことでどう変わるのか、しっかりと時代の流れを理解できているのか、「意味のある役割」をそのブランドが「誰のために」果たすのか。(個人としても企業としても)考えていくことは私たちにもできるはずです。
そのブランド、そのプロダクトは世の中にどのような意味や価値観をもたらすのか、社会の中でどんな立ち位置なのか。「意味のある役割」をただブランド戦略の資料の中に入れ込むだけでなく、広告を通してその意味を広めていく必要があります。

これまでは国や一つの人種の問題に対してどこか他人事だったとしても、新型コロナウイルスや気候変動など、国や地域、宗教の違いなどに関係なく、私たちの頭上には、さまざまな困難が降りかかってきています。だからこそ個人としても広告会社で働く人間としても、価値を出していかなければならないと感じました。

もはやこの世の中に、いち企業、いちスタートアップ、いちエージェンシーだけで解決できる課題はありません。だからこそ仲間を見つけ、ゴールに向かっていくことが重要なのだと思います。