音楽配信や雑誌、ニュースコンテンツに影響か
公正取引委員会は9月2日、米アップルに独占禁止法違反の疑いがあるとして進めてきた審査を終了すると発表した。「iPhone」向けアプリで、コンテンツ販売の自由度が増す。音楽配信や雑誌、ニュースなどの提供が活発化する可能性がある。
独禁法違反が疑われていたのは、アップルのスマートフォン「iPhone」向けのアプリ開発者が、利用者からコンテンツの代金などを得る際、アップルが指定する支払手段「IAP」以外に選択肢がなかった点。ほかの手段で購入できるボタンやリンクをアプリに含めること(アウトリンク)も禁じていた。
アップルはアプリ開発者らにIAPの使用を義務付け、売上の15%もしくは30%を手数料として得ている。従来の規約では、IAPを使用しないアプリ開発者は、「iPhone」利用者向けに広くアプリを配信できなかった。アップルの2020年時点の国内スマートフォンに占めるシェアは46.5%だった。
公取の指摘を受け、アップルは規約を変更。音楽や雑誌、ニュースコンテンツの視聴や閲覧を主とする「iPhone」向けアプリから、IAPを用いずに、コンテンツを販売することが可能となった。公取は「課金手法の選択肢を広げることで、価格の引き下げ効果が見込まれ、消費者の利益となりうる」としている。
アップルは、「iPhone」向けアプリを配信するプラットフォーム「App Store(アップストア)」への掲載可否基準の不透明さについても改善するという。開発者側からは、「App Store」でアプリを配信できない理由が不明確である、という声があがっていた。アップルは今後3年間、掲載指針や審査の透明性の向上について、年1回、公取に報告する。
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