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極地建築家と開発、ヒマラヤでも被災地でも使える組立式ダンボールテント

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缶やレトルトパウチなど容器の製造技術に強みを持つ東洋製罐グループは8月、今秋からダンボール製の組立式テント「DAN DAN DOME」の提供を開始すると発表した。社会課題に向き合うプロジェクトの一環で、同社グループの日本トーカンパッケージと極地建築家の村上祐資氏(FIELD assistant代表)が共同で約半年かけて開発した。

屋外での設置イメージ。

高さ約3メートル、幅・奥行は3.6メートルのドーム状で、被災地や観光地、イベント会場などでの使用が想定されている。ネジやボルトが不要で子どもの力でも組立ができ、捨てる際の分別もしやすい仕様だ。

開発パートナーとなった村上氏は「DAN DAN DOME」の設計とデザインを担当した。「極地建築家」という肩書のとおり、南極や北極、エベレストなどに通算1000日以上の滞在経験がある。この10年はプラスチックダンボール製の組立テントの設計に携わり、2015年のネパール地震などで現地にテントを供給した実績もある。

「ダンボールは誰でも捨て方がわかっている身近な素材。捨てた後も再びダンボールに戻りますし、海外のインフラでも処理できて耐久性もあります」(村上氏)。

テントの内部。ゆったりとした空間が広がる。

ドーム型のデザインで、最小限の資材でもゆったりした空間が生まれる点も特長だ。「幾何学的にはもっと合理的な設計ができるのですが、最も優先すべきは、被災地など不安を抱えた非日常の空間でも誰もが組立に貢献できること。プッシュ式のロック機構を用いることで、直感的に組立ができるのは日本トーカンパッケージの技術があってこそ。迷っても完成できるナビゲーションを重視しました」。

プッシュ式のロック機構によって、誰でも組み立てやすい。

さらに4台のテントを四つ隣の状態で並べると、中央部に中庭のような空間ができる。これはドーム型ならではだ。

「真四角のテントにはない非効率の産物です。ある意味、無駄かもしれません。でもこの空間に集まることで、有機的なつながりが生まれます。たとえば避難所などでは一方通行の指示系統になりがちですが、新たに横のコミュニケーションが生まれるかもしれない。組み立てる楽しさもありつつ、壊して捨てられる素材なので従来の常識を取っ払うような自由な使い方をしてほしい。個人的には、標高5000メートルの極地、ヒマラヤのベースキャンプに立ててみせたいですね」(村上さん)。

体育館など室内での設置イメージ。入口も4つあり、隣のテントと横のつながりが生まれそうだ。