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SNS運用で社内の協力を得るための方法

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【前回】「企業のSNS活用で迷走しないために、目的・課題を明確にする」はこちら

競合が始めていることや、SNSで人気となっている企業の事例を聞いて、「うちでもSNSをやってみよう」「若いメンバーにとりあえずやらせてみよう」と気軽に導入するケースが見られます。しかし、いざ取り組んでみると「『いいね』がつかない」「担当は自分だけで、投稿も行き当たりばったり」と、大変さを感じることも多いと聞きます。
 
このコラムでは、SNSの運用をこれから始めようと思っている方、また既に取り組んではいるものの思うような成果が出ない方のために、各SNSの特性や情報発信の勘所、そして社内体制の築き方までを、宣伝会議の「SNS運用担当者養成講座」で講師を務める本門 功一郎氏がアドタイでの出張講義として、全3回にわたってレクチャーしていきます。

今回はいよいよ第3回目、最終回となります。
これまでの記事では、企業のSNSアカウント運用には、最適なSNS選びが重要という話から始まり、そして「目的・課題に合った情報発信をする」こと、また「目的を決めるだけではなく、効果測定も重要」という話をしてきました。しかし、これらを一人でこなすには担当者の負荷が大きく、そのために安定的な運用が難しくなってしまいます。そこで、最終回である今回は、安定的な運用のために「社内の協力を得る」ことの大切さと「協力を得るための方法」について解説します。

視点3:社内の協力を得ることの大切さ

まず、社内の協力で得られるメリットについて解説をしていきます。そのメリットはいくつもありますが、特に投稿コンテンツを作る際に威力を発揮します。

例えば、歴史のある会社であれば、その歴史を活かし、過去の商品カタログやポスター、パッケージなどに詳しい方にヒアリングをして、投稿素材として利用できるものがないか確認をしてみましょう。

例えば、トヨタ自動車の公式Instagramアカウントでは、人気車種「ランドクルーザー」の生誕70周年を記念し、歴代のポスターやカタログ、動画を公開し、ファンを魅了しています。

またBlue Bottle Coffee Japanの公式Instagramアカウントでは、新型コロナウイルスで店舗の営業時間に制限がある中で、従業員がコーヒーの淹れ方を解説する動画や、ユーザーからの質問に回答する動画などを公開し、顧客との触れ合いをデジタル上で実現していました。

こうした投稿は、担当者一人の力では実現できず、社内の協力が必要不可欠です。これらの他にも、社内の協力を得ることで、投稿コンテンツの種類を大幅に増やすことができます。そのポイントを以下にピックアップしたので、ぜひ参考にしてみてください。

 

運用はメイン担当1名体制ではなく複数人で

複数人で運用することは、メインの担当者が休暇中であってもスムーズに運用が可能となり、また異動・退職になった場合にも引き継ぎがしやすいでしょう。実際に担当者が変更になったことで、結果的に自然消滅してしまった企業アカウントも少なくありません。

そのほか、炎上リスク防止にもつながります。例えば投稿コンテンツの作成者と属性(年代や性別など)が異なるメンバーによるダブルチェックは、さまざまな角度から投稿を検証することができます。

社内の協力を得るために

そして最後は、いよいよ安定的な運用について欠かせない「社内の協力」についてです。「若い世代の方がSNSに詳しいだろう」といった理由だけで、SNS運用担当者に任命しているケースは要注意です。その任命された人の社内ネットワークがまだ十分ではないケースもあり、苦労も多くなります。そこで重要となるのが、どのようにその人をサポートしていくか、その体制づくりです。その方法は大きく二つあります。一つは定例会議の活用、もう一つは上司の協力です。

社内の協力を得るためには、まずSNSの活動そのものの社内認知を増やすこと、そしてSNSコンテンツになりうる情報が自然と集まってくる体制を築くことが重要です。

そこでまず一つ目ですが、定例会議の活用をお勧めします。特に他部門が多く出席する定例会議に参加をさせてもらい、そこで活動の周知と共に今後発信できるようなネタ探しをすることです。本社だけでなく各支店また他のグループで働くメンバーとの交流・情報交換などから深掘りしていくと、従来の発想にはない新しい投稿のネタが多く潜んでいますので、活用しない手はありません。そして、最初は小さくともその集めたネタから、しっかりとした投稿を行い、反応を生み出すことが重要です。

そして二つ目が上司の協力です。投稿したそのタイミングだけ注目をしてあげるのではなく、定例会議での積極的な報告から、効果が出た際は、そのケースを広報部など、社内で発信力のある部署に伝播してもらうなど、SNS運用担当者を発信前と発信後でそれぞれフォローをしてあげることで、より軌道に乗りやすくなります。すると、結果がさらなる結果を呼ぶ良い循環を生み出すことができます。
ただSNS運用担当者が忘れていけないのは、協力を得られた際には、フィードバックや謝意もこまめに伝えましょう。

さて、3回目では、主に体制面について触れてきました。企業のSNSアカウント運用は公開して終わりではありません。日々の運用には一定の時間や労力がかかりますが、安定した運用ができれば、会社にとっては顧客やファンとつながるための重要な資産になるはずです。
また、担当者ひとりで運用するよりも、複数名で運用した方がより安全に、継続的に運用しやすいです。改めて社内の体制を見直すきっかけになれば幸いです。
 

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講師プロフィール

本門 功一郎氏
一般社団法人SNSエキスパート協会 理事

SNSマーケティングのコムニコにて、航空会社、飲料、スポーツブランドなどのSNSを活用したコンサルティング、運用に従事。宣伝会議はじめ、寄稿・書籍執筆・全国でのセミナーを行う。2016年、一般社団法人SNSエキスパート協会を設立、理事に就任。その後18年に人材支援会社を設立。デジタルマーケティング、SNSマーケティング領域の人材支援・教育事業に取り組んでいる。