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ニーズとペインの数、全てに対応するためのクリエイティブを科学する重要性

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マーケティング領域のDXにおいて、チャネルや配信面のデジタル化は進んできた。それでは、そのクリエイティブづくりについては、どのような変革が可能なのだろうか。企業のブランディング・マーケティング担当を経て、2021年3月にリチカへ参画したCMOの田岡凌氏に話を聞いた。

テックで制作フローを自動化してメッセージづくりに注力する

DXというと、企業活動の主軸をオフラインからオンラインに、アナログからデジタルに変えていくことだけのように捉えられがちですが、大切なのは、デジタルを活用して「運用型の発想で考えること」だと考えています。広告だけでなく、マーケティング戦略のあらゆる工程…企画や制作、分析、改善、全てのフローを「運用型」にしていく。リサーチを重ねてひとつの仮説を極限まで磨きあげてから実行するというより、様々な仮説を立てて、それらを同時に実行しPDCAを高速で回しながら、より高い成果を出すスタイルへと変化しつつあります。

すでにこうした「運用型」フローの切り替えは、マーケティング領域でも浸透し始めていますが、遅れをとっているのが、クリエイティブの領域です。

クリエイティブが、顧客とのコミュニケーションにおいて重要な役割を果たすことは、誰しもが実感していると思います。実際、Nielsenの調査では、デジタル広告における購買行動への貢献度は「クリエイティブ」が最も高く、全体の47%。デジタル広告で、最も差がつくのが「クリエイティブ」なのです。

では、それぞれのタッチポイントにおいて、一人ひとりに最適なクリエイティブを届けるためにはどうしたらいいか。まず、企業にとって最も重要な顧客はどんな人で、どんな課題を抱えているのかを知ることが大前提。しかも、その時々の状況によって同じ顧客であってもニーズやペインは変わります。そのすべてのニーズ、ペインに対応できるコミュニケーションが求められています。配信面やチャネルのDXが進んだことで、適切にターゲティングして配信することはある程度可能になりました。その次のステップが、クリエイティブそのものの最適化です。

前述の通り、PDCAを回して効果を検証するには、同時に多くの施策を打つ必要がある。しかし、特に動画などリッチなコンテンツでは、一定のクオリティを担保するためにも複数の専門クリエイターが関わる。それゆえ、制作や分析フローにコストがかかり、結果をもとに常に改善し続けることは難しい状況にありました。

またSNSのオーガニック投稿などのコミュニケーションにおいても、新鮮な情報を出し続けることが重要です。多様化する顧客や顧客接点に対応し最適なクリエイティブをつくる。そのフローにおいて効率化と最適化を求め、クリエイティブテックを導入する価値があるのではないかと考えています。

提供すべき方向性と価値を見極め考えていく部分では、結局は人の力が必要。そこに注力するためにも、制作や配信のプロセスなど、可能なところは自動化していく。実現できることの発想を拡げるためにも、まずは様々なテクノロジーに触れてみることが大切なのではないでしょうか。

リチカ CMO
田岡 凌氏