アイデア発想のスペシャリストに聞く! ものの見方を鍛える「宝石商モデル」

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コピーライティングやクリエイティブ制作、商品やサービスの開発など、すべてに必要とされる“アイデア”。そして、その新しいアイデアを考える際の肝となるのが「着眼点」です。
人とは異なるものの見方により、たくさんのアイデアを生み出しているクリエイターの「着眼点」に迫ります。

Creative Project Base
代表取締役
倉成英俊氏

電通にて長年「広義のクリエーティブ」プロジェクトをリード。電通Bチームとアクティブラーニングこんなのどうだろう研究所を創設。昨年Creative Project Base設立。

 

企画屋=宝石商?見えない原石を発掘する方法

お仕事は何をされているんですか?と初対面の方に聞かれた時、最近こう答えています。

「宝石商です。」

もちろん半分冗談ですが、半分は本気です。僕はアイデアを生む「企画屋」ですが、それは誰も目をつけていないモノやコト、つまり原石を見出して、磨いて世の中に出す仕事。
つまり企画屋とは、着眼で食ってる、原石の目利き、見えない宝石商だと思うからです。
この原稿で僕が依頼されているのは『人とは違うものの見方「 着眼点」を鍛える』方法。宝石商的に言えば、見えない原石をどうやって探しているか。僕は今までいろんな人に、その方法を伝授してもらってきました。宝石商に?いや、新しいことを追い求める人はみんな、原石を探す宝石商。今日は、その秘伝をお話ししたいと思います。

採掘の地図は自分でつくる!見方を養う「伝説の授業」採集

この商売を志したのは、かれこれ40年近く前。小学校1年生の時、将来の夢を書く文集に「発明家になりたい」と書いた時に遡ります。発明家といっても、ちょっとしたアイデアで特許取って大儲けした主婦の発明みたいなものが大好きだったんですね。発明はまさに誰も見つけていない見えない原石探し。そのロマンに人生を捧げると決めたわけです。

その流れに影響を与えた最初の師匠は父です。父の職業は植物学者ですが、これもある意味宝石商。新種を発見するという、まさにわかりやすい「原石」を見つけたりする職業です。父からは夏休みの自由研究で、植物学者的原石の見つけ方を教わりました。それは、植物採集。とにかく集める、そして分類するというやり方。たくさん集めることで気づくことがあるんですね。この部分が似ているとか。地域での分布の傾向とか。そして、これはどうも分類にないぞ、となった時に新種発見となります。既知をたくさん知る人にのみ、新種=原石発見のチャンスは訪れるわけです。

理系に進んだ高校時代。ここでは数学の先生に、その後の原石発見に多大な影響を及ぼす一言をもらいました。
その言葉は「公式は覚えるな」。
先生の意図したところは、テスト中に公式を忘れたら全部間違ってしまうから、自分で導き出せるようにしておきなさい、ということだったのですが、その発言に僕はガーンときました。公式って誰かが決めたものじゃないんだ。誰かが自然の真理から気づいたものだったのか。つまり「すべてのものには理由がある」。
それ以来、誰かがつくった道筋を差し出されても「鵜呑み」にしなくなりました。それは本当か? その通りじゃなくてよくないか? その通説をまず疑う。つまり、自分の原石探しの地図は、自分でつくるということを、その瞬間に教えてもらいました。

大学は工学部に進みましたが、そこでも原石の見つけ方を学びました。
4年生の秋。卒論前の中間発表会。30人ずつに分けられて、1日発表し合うのですが、集まった学生は、自分の発表時間以外は、ほぼ居眠りしていました(僕含め)。
担当教授は、最終手段に出ました。「ひとりが発表したら、3人ずつ質問してもらうからな、当てます」と。みなが目を覚まし、発表が終わった時、最初に当たったのが僕でした。
「発表もうまかったし、何より起きて聞いていたから、よくわかったんですが…、この研究、何の役に立つんですか?」と質問したら、大ウケでした。あまりに普通の質問だったから。素直に思ったことを口にしただけだったのですが。しかし、教授の一言に教室は静まりかえります。
「いい質問だ。なぜなら、工学というものは、理論をどう世の中に役立てるかという学問だからだ」と。
「思ったことをそのまま話したら、褒められちゃった!」。僕は僕。自然体、そのままでいい。他人がどうこうではなく、自分が良いと思うなら、それは良い原石、そう思って良い。原石探しのコンパスは、自分の心である。そう悟った瞬間でした。

その後、縁あって、広告業界でアイデアを出す仕事につくわけですが、
この3つの教えを守って、「心のコンパスに素直に従い、原石探しの地図を自分でつくって、様々な原石を採集して新種を探す」というやり方でやってきました。

そして最近、僕がこれは原石だと思って集めて磨いて世に出した宝石(=仕事)が、どうやらこの流れを色濃く反映していたらしく、着眼の方法について編集部から執筆依頼があった、というわけです。

その仕事は宣伝会議のWebメディア「AdverTimes(アドタイ)」で昨年から1年間続けた「好奇心とクリエイティビティを引き出す『伝説の授業』採集」連載(全20回)。
有名無名問わず、日本全国と世界はカナダからアフリカまで、そして現代から過去、小学校から企業研修まで、まさに古今東西で行われた、伝説の授業や問題で、僕がこれはすごいと勝手に集めていたものを取材し直し書き起こしたものです。
クリエーティブで、好奇心をくすぐられ、受ける人の人生を変えてきた授業ばかりで、つまりものの見方を養う授業も多く含まれていて、見えない原石を見つける技のバイブルに映ったようです。多くの方に興味を持って読んでいただけたことから、書籍化して宣伝会議から刊行する予定で動いています。
この20回の中には、読者自身が考えられるように設問を出したものも多いので、解きながら全部読んでもらうと、新たなものの見方が養われている可能性は高いです。ぜひトライしてみてください。

原石発見のための5ポイント「独自の見方」は自分だけのもの

具体的レッスンは「伝説の授業」の連載にゆずるとして。その世界中の素晴らしい教育を集めてみて、改めて気づいた原石発見法を、ここにまとめてみたいと思います【図】。
まずひとつ目は「宝石を探すな」ということです。

図:独自の着眼点を鍛える、宝石商の「ダイヤモンドモデル」

―本記事続きは、月刊『宣伝会議』12月号で読むことができます。
詳細は、こちらから。

月刊『宣伝会議』12月号

▼シリーズ特集「知っておきたいクリエイティブの基本」
アイデアを生み出す「着眼点」
人とは違うものの見方を鍛える!

 
・効率よく多くの“組み合わせ”を試す
アイデアを量産する発想法
アイデアステーション 大澤 孝
・宝石を探すな、原石を探せ
ものの見方を鍛える「宝石商モデル」
Creative Project Base 倉成英俊

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