全日本空輸は1月11日、新会社「株式会社全日本産直空輸」を設立したと発表した。航空機で地域の農産品や魚介類を空輸し、小売り店頭などに並べる。これまで2〜3日かかっていた流通時間を5〜6時間に短縮できるという。物流や地方創生を担うグループ会社とも連携して、新たな収益源の創出を図る。営業開始は4月1日予定。
グループ社員の提案制度での提案がきっかけ。2019年から実証実験を重ね、足かけ2年を経て発足に至った。代表取締役は、発案チームを率いた木下真祐央氏が務める。同制度から生まれた新興企業は、ロボットを遠隔操作して買い物や施設見学などができるサービス「avatarin(アバターイン)」に続いて2例め。
当面は、当日朝に収穫した農産品を貨物として航空機に搬入、羽田空港から売り場まで運搬して販売といった活用を想定する。2021年3月から首都圏のスーパーマーケット複数で50種類以上を試験販売してきた。羽田空港でも18品目の野菜やくだもの、計200キログラムを陳列、販売した。
交通機関で荷物を運ぶ例は、電車やバスなどでも実験・実用化が進む。国土交通省は、物流を支える幹線輸送(都道府県をまたいだ県間流動で輸送距離300キロメートル以上の貨物輸送)を維持するには、現在の貨物量と同じ場合で2025年にドライバーが2.7万人不足、貨物量が減少したとしても1.2万人不足すると推計。経済を支える物流体制の再構築が急務となっている。
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