広告などの雑な英語の使用に警鐘 仏学士院「格差広げる」

仏アカデミー・フランセーズは2月15日、行政機関や学校、大企業が打ち出すメッセージで、フランス語と英語の無秩序な混同が見られるとして、警鐘を鳴らすレポートを発表した。「Only Lyon」「Ouigo!」「Homly You」など多くの例を挙げ、「現代のコミュニケーションは、単純化された広告の言葉によって非常に強い影響を受け、汚染されている」と厳しく非難した。

レポートでは、省庁や地方自治体、観光局による公共コミュニケーションや、大学や研究機関、博物館、ルノーやシトロエン、カルフール、アクサ、カナルなどの企業が用いたフレーズを調査。「I Love Nice」「Only Lyon」といったキャッチフレーズや、「イージーライフ:ルノーイージードライブとルノーイージーコネクトの技術をご覧ください」「ドライビングポジション:エクステンデッド・エクスペリエンス(太字斜体は、原文では英語表記)など文中で混用したもの、「Ouigo!」「Homly You」といった造語などを紹介している。

アカデミー・フランセーズは、「英語を使いこなせるのは教育を受けた一部の人々。広いターゲットに発信するのには向かず、むしろ見聞きした人々の格差を広げる危険性をはらむ。フランス語と“英語”の無神経な融合は、表現の明瞭さを損ない、フランス語話者に一種の言語的不安をもたらす」と主張する。

「フランス語の語いの空白を埋めるために外国語が追加されることは歓迎すべきで、時には必要だが、(特にインターネットにおける)大量で、不安定かつ無秩序な流入は、フランス語の語いをむしろ貧しくし、将来に悪影響を与える。フランス語話者が明確に理解できない言葉の使用は、受け手の当惑や拒絶を招き、疎外感につながる」(同)

アカデミー・フランセーズは1635年にフランス語の純化、統一などを目的に設立された学士院のひとつで、1694年年から国語辞典の編さんを続ける。

英語はその成立の歴史上、フランス語の影響を受けた言語。特に11世紀〜15世紀(中英語)にかけて大量のフランス語が流入した。

『英語の歴史』(中公新書)によると、「中英語の間にフランス語から借用された語の数は約1万ともいわれ、そのうち約7500語が現代英語に伝わっている」。中には「マネー(money)」や「アパレル」「コート(外套)」「キャベツ」「レタス」「オニオン」など日本でもよく使われるものも少なくない。また、フランス語の「grand」と英語本来の「father」による「グランドファーザー(祖父)」のような混種語もある。


 

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