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トピー工業、100周年プロジェクトの進め方

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『広報会議』では、長寿企業から学ぶ企画「周年イヤ―の迎え方」を連載しています。今回は、2021年10月に100周年を迎えたトピー工業の取り組みをレポート。Z世代へのアプローチ施策や動画活用など、次の100年に向けた新たな挑戦が生まれたといいます。
*本記事は2022年3月1日発売の『広報会議』4月号の転載記事です。

トピー工業 1921年創立
東京都江東区で宮製鋼所(のちの東都製鋼)が創業され、その後1964年に東都製鋼、車輪工業、東都造機、東都鉄構の東都グループ4社が合併してトピー工業が発足。現在は、海外7カ国に17の生産拠点を有するグローバル企業として、主要製品で世界トップレベルのシェアを獲得している。従業員数はグループ連結で6153人(2021年3月末時点)。

2021年10月1日に創立100周年を迎えたトピー工業。「鉄をつくり、鉄をこなす」高い技術力と「素材から製品までの一貫生産体制」を強みに、鉄鋼、自動車・産業機械部品、合成マイカやロボットなど、様々な事業分野において社会と人々の快適で豊かな暮らしに貢献してきた。

 

感謝と継続、進化を意識

100周年記念事業のスローガンは「次を造りつづけよう、トピー100年スピリット」。

周年のプロジェクトチームを事務局として支えた総務部 広報・IR室長の髙木直也氏。

2018年10月に100周年事業推進プロジェクトを発足させ、社会における「知名度向上」と「企業ブランド強化」、そして社内での「事業理解」と「エンゲージメント向上」を目的に施策を検討していった。

「当社は事業分野が多岐にわたり事業理解が深まりにくく、社会への貢献度がなかなか見えづらいことによる社員満足度の低下が課題でした」と事務局を務めた総務部 広報・IR室長の髙木直也氏。

次の100年に向けた素地をつくるべく大切にしたのは、“感謝” と “継続”、そして “進化”。「過去から未来へのつながりはもちろん、100年の成長を支えてくれた多様なステークホルダーに感謝しながら、社員同士のつながりや未来への進化を感じられる施策に取り組みました」。

プロジェクトメンバーは30代を中心に、幅広い部署から偏りなく選出。コロナ禍のため打ち合わせはオンラインを活用して密に連絡を取り合い、社内での撮影には異なる部署のメンバーが立ち会うようにするなど、現場の垣根を越えたコミュニケーションを心掛けたという。

100周年を記念した特設ウェブサイトは、対外的な認知度向上はもちろん、社員が見ても楽しむことができてエンゲ ージメントが高まるような構成を意識。6秒動画『トピーのセカイ』には多くの社員が登場する。

その思いは、100周年記念のロゴマークやウェブサイトにも反映されている。 100周年の「0」は強さと結束力をイメージしたハニカム構造のような六角形で形づくられ、未来へ続く無限大の記号を示す。その隣には「未来へ突き進んでいこう」という気持ちを表すトピー工業の製品で構成された矢印が並ぶ。

「ロゴマークは社内報を通じて全社員に投票を呼びか>け、5案の中から決めました。周年イヤーの2022年9月末まで、本社の最寄駅であるJR大崎駅の電飾看板広告でロゴを掲示しています」。

また、2021年4月1日に開設した特設ウェブサイトでは、同社の製品が人々の生活を支えていることを伝える1分半の記念動画も公開。Z世代に向けて15秒のダイジェスト版をYouTubeやTwitterで展開したところ、想定以上の高い回転率で視聴されている。

「さらに、『トピーのセカイ』と題して各製造所や社員、社会貢献などにまつわる6秒動画を40本ほど公開したところ、数十年勤務する社員からも『初めて知った』『改めてよく分かった』などポジティブな反応が多くありました」。

次の100年を担う人財獲得のため、リクルート活動を行うZ世代をターゲットにTwitterやYouTubeで100周年記念映像の広告(15秒)を展開すると、大きな反響を呼んだ。


周年事業を経て若手からの提案も

新型コロナウイルス感染症の影響から、式典をはじめ半数近くの施策は実施を見送らざるを得なかったが、この時期だからこその手応えも感じている。

「全員が顔を合わせる機会は減りましたが、オンライン会議も活用しながら、様々な分野の若手が分科会ごとに『トピ ー工業をどういう会社にしていきたいか』を議論し、事業部を越えてコミュニケーションを深めることができました。人財育成の面でも大きな効果があったのではないかと思います」。

事実、入社2~3年目の社員たちから、周年イヤー終了とともに閉鎖予定だったTwitterアカウントを今後も運用していきたいという提案もあがっている。

「コロナ禍で迎えた周年だからこそ、次の100年に向けて新たなフェーズに入るチャンスにできたと感じています」。

2022年9月に発行予定の社史に先駆けて社員に配られた記念誌は日本語版と英語版を制作。高松信彦代表取締役社長と青山学院大学地域社会共生学部の教授であり、陸上競技部長距離ブロックで監督を務める原晋氏の対談などが掲載された。

Pick up!
周年を記念して
新しいユニフォームを作成

 
社内向けの施策として社員のユニフォームを刷新。分科会のメンバーが2年の歳月をかけて30年ぶりのリニューアルを担当した。
 
新たに開発された綿100%素材を採用し、通気性、ストレッチ性、制電性、防シワ性、吸水速乾性を実現。

「わが社の周年事業・プロジェクトを広報会議で取り上げてほしい!」
という担当者の皆さま、ぜひ情報をお寄せください。
kouhou@sendenkaigi.co.jp

<INFORMATION>
月刊『広報会議』定期購読者の方に、「周年イヤーの迎え方」事例(26ケース)をまとめたPDFハンドブックをプレゼント(2022年6月30日まで)。周年プロジェクト成功までのプロセスが分かります。
詳細はこちらから

『広報会議』2022年4月号

【特集1】
距離を縮めるコミュニケーション
動画

 
GUIDE1
「動画」を活用するメリットは?
広報が考えるべきコストと効果
瀧 良太(LOCUS 代表取締役)

 
GUIDE2
動画投稿プラットフォーム別使い分け
大谷和利(テクノロジー・ジャーナリスト)

 
COLUMN
Z世代に響くコンテンツとは?
椎木里佳(SNSトレンドマーケティング協会代表理事)

 
【特集2】YouTube、TikTok
直感的に伝わる投稿動画
ケーススタディ

 
CASE① くら寿司「178イナバニュース」
従業員の個性活かした内容で
メディアからも取材依頼

 
CASE② 三陽工業「おじさんTikTok」
役員らの「若者の気持ちを知りたい! 」
という想いが結実した動画施策

 
CASE③ 広島県 公式TikTok
「読む」から「見る」広報へ転じ
若者向けコロナ対策

 
CASE④ 物質・材料研究機構(NIMS)「まてりある’s eye」
面白さが分かりにくい“地味にすごい”魅力
実験室で起きる“感動体験”をYouTubeで

 
【特集3】
はじめての「動画」広報
データ分析・著作権の基本

 
次回作に活かす効果測定
より良い動画にするための
改善点を見つけるデータ分析
木村健人(動画屋 代表取締役)
 
これは著作権法上、グレー?それとも違法か
動画制作の前に一読しておきたい
著作権に関するQ&Aを専門家が解説
大本康志(弁護士)