コンビニやスーパーの店頭で、ついつい棚の奥のほうから商品を取り出す。「より新しいほうがよい」という価値判断と、賞味期限が先のものほど奥側に並んでいるという経験則から、手が伸びることは少なくない。
消費者庁が4月8日に公表した調査結果では、棚の奥側から商品を取る人は60.6%に上った。一方、購入してすぐ口にしたりする場合など、手前側に並ぶ商品のような販売期限の迫った商品をふだんから積極的に選ぶ人は33.0%となった。
同庁では昨年6月1日から、セブン-イレブンやファミリーマート、ローソン、ミニストップの店舗を対象に、商品を棚の手前側から取る=「てまえどり」キャンペーンとして、棚帯POP(レールPOP)などの掲出を勧めている。
日本フランチャイズチェーン協会との共同施策で、オーナーへの呼びかけのため、導入店舗の総数は明らかでない。期限は明確に区切っておらず、ことし4月12時点でも、実施している店舗はあるようだ。「調査結果をふまえても、全国で取り組んでいただけている。各チェーンでのアンケートでも来店者から好評と聞いた」(消費者庁)。
この施策で、POPなど掲示物を見た記憶のある人では、顕著な押し上げ効果が見られた。「店舗で掲示物を見たことがある」という1157人中、27.6%(約320人)が、「掲示物を見て、手前から商品を取った」と回答。直前に接触した広告が購買に影響を及ぼす、いわゆるリーセンシー効果が生じていることが伺える。
「てまえどり」は、2018年にはコープこうべと神戸市がすでに市内34店舗での実施例がある。消費者庁の調査では、「てまえどり」自体の認知度は50.6%となった(「掲示物を見たことがある」23.1%、「取り組みは知っているが掲示物を見たことはない」の合計)。
各自治体でも個別に実施しており、札幌市や小樽市、岩見沢市など札幌圏内12市町村では、セブン-イレブン483店舗で3月からキャンペーンを始めた。埼玉県久喜市では独自のPOPを制作し、1月から市内のセブン-イレブン29店舗に設置している。
食品ロス問題自体についての認知度は、高齢者ほど高くなる傾向にある。世代別の認知度では20歳代が最も低く、「よく知っている」が全体平均より4.8ポイント低い18.9%。「ある程度知っている」が同9.3ポイント低い47.2%だった。30歳代では「よく知っている」が18.5%の一方、「ある程度〜」は51.7%となる。18〜19歳(n=107)は「よく知っている」が37.4%、次いで70歳代が30.9%だった。
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