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自治体「初」のAI職員採用など話題化の裏にはエンタメ性と対応力

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『広報会議』では、5月号にて特集「取材がグンと増える!上手い広報が実践していること」にて、メディア露出を増やした企業や自治体に取材しました。今回は、「初」を打ち出すことで取材が殺到したケースとして、「アバターAI職員の採用」や「メタバース課の設置」で話題となった鳥取県の事例を紹介します。
※本記事は『広報会議』2023年5月号(4月1日発行)の転載記事です。

【ポイント】

1. リリースで、自治体「初」をアピール。
  実演も交えた発表会では、メディアの関心を集める。
2. 知事のダジャレの効いた発言や
  「絵になる」装いで、エンタメ性高める。
3. 首都圏の拠点にも裁量持たせ
  メディアの要望に迅速に対応できる体制に。

2023年2月2日、鳥取県は「メタバース課」という架空の部署の設立を発表した。鳥取県庁内に生まれた「メタバース課」は、インターネット上のバーチャル空間でのやり取りを通じて鳥取県に関する情報を発信し、関係人口(県内に居住していなくても、県に対して好感を持ち、地域づくりに参画してくれる存在)を創出することを目的としている。

メタバース課には、「YAKAMIHIME(やかみひめ)」というAIアバター職員が従事しており、公式HPにある専用ページにアクセスするとコミュニケーションを常時取ることができるという。

「初」を謳える取り組みを

昨今は画像生成AI、さらにはChatGPTのような高機能な人工知能サービスの登場により、世界がAIに寄せる期待は大きい。加えて、VTuberをはじめ「仮想空間のコンテンツ利用」の波は国内外においてますます加速している。

鳥取県のAIアバター職員「YAKAMIHIME」は、そんな2つの潮流の両方を掴み取った、先進的な試みだ。

「事の発端は、2022年5月に行った『鉄腕アトム』のご当地NFT(非代替性トークン)トレーディングカードの販売です。3社(手塚プロダクション・NOBORDER.z FZE・J&J事業創造)の共同開発に鳥取県が協力し、カードの背景に県の名所がデザインされたもの。これが大好評だったことを受け、第2弾としてメタバースを取り入れることに。とはいえ、仮想空間上に県のエリアを設ける取り組みは、渋谷や大阪など他の自治体でも行っています。そこで『自治体初』を謳える取り組みとして思いついたのが『メタバース課』でした」(鳥取県交流人口拡大本部 東京本部主幹 河上一雄氏)。

採用式を模した発表会開催

 メタバース課の発表に際しては、東京都内でメディア発表会を開催。発表会の案内状では、自治体「初」をアピールしたほか、「AIアバター職員」を採用する旨を記載し、その姿については当日までシークレットとした。

「メタバース課」新設と「AIアバター職員」採用に関する発表会の様子。

発表会ではスクリーンに投影した「職員」と平井伸治知事にコミュニケーションを取らせ、円滑なやり取りでメディアを驚かせた。また、単に「AIアバター」を投影したのではなく、現実の採用式のように辞令書や名刺を用いて、平井知事自らが任命式も実施。エンタメ性を全面に押し出したことで、350媒体以上のメディア露出が実現したという。

「開催後はメディアからの取材依頼はもちろんですが、海外からのアクセスも増加しました。関係人口を創出する』という面では成果につながった施策だと感じています」(河上氏)。

©XANA

AIアバター職員「YAKAMIHIME」とアバターの平井知事などがメタバース空間にいる様子と、「YAKAMIHIME」の名刺。

PR施策へのトップの理解

白兎海岸など、神話「因幡の白兎」ゆかりのスポットが多い鳥取県は現在、兎年にちなんでうさぎを切り口とした情報発信に力を入れている。AIアバター職員「YAKAMIHIME」の名前も同神話から着想を得たものだという。

他にも、3月3日の「うさぎの日」に「兎取県(とっとりけん)」と限定“改名”し、県庁職員がうさぎ耳をつけて働くなど、ユニークな取り組みで多数のメディア露出を実現している。

「うさぎで鳥取県を推す」活動に関するリリースに掲載された写真。鳥取県庁の職員がうさぎの耳を付けて働く様子。

多くのメディア露出を叶えている背景には、2つの要因があるようだ。

ひとつめは…

続きは広報会議5月号で、ご覧いただけます。
5月号ではこのほか、「取材がグンと増えた」企業や自治体のさまざまな事例を紹介しています。

広報会議2023年5月号

 
【特集1】
取材がグンと増える
上手い広報が実践していること


GUIDE
メディアからの取材を増やす広報10の原則
片岡英彦
 
CASE1 社員巻き込み、地域特性に合わせ情報を提案
リコージャパン
 
CASE2 「目標から逆算」で190以上のメディア露出
中川政七商店
 
CASE3 競合多い飲食店で露出が急拡大
ディーズプランニング
 
CASE4 BtoB企業が多数のパブリシティ獲得
新田ゼラチン
 
CASE5「初の取り組み」打ち出し取材殺到
鳥取県(AI職員)
 
CASE6 SNS動画がテレビの「画」づくりのヒントに
バイオパーク
 
CASE7 時流にあわせた発信で取材誘致
ランクアップ
 
CASE8 ギャップのある掛け合わせで話題
CGOドットコム
 
CASE9 業界内の口コミからロケ地の依頼急増
東京ドイツ村
 
メディアが求める広報
『日経MJ』/フジテレビ『ウワサのお客様』/TBS『よるのブランチ』/
『週刊エコノミスト』/『企業の遺伝子』
 
メディア向け勉強会のはじめ方
 
GUIDE PR会社が注目
メディアリレーションの機会が広がる
2023年トレンド・キーワード
など