“情報洪水”時代の今、広報に必要な情報リテラシーとは

『広報会議』では毎月の連載ページ「BOOKS」にて、企業や自治体の広報担当者に参考になりそうな「新刊書籍」を紹介しています。
今回は、「BOOKS」の一企画「著者インタビュー」にて、『メディアを賢く消費する「情報リテラシー」 情報洪水時代の歩き方』を執筆した、日本テレビ放送網「news every.」の前統括プロデューサー 大野伸氏に、広報担当者に必要な情報リテラシーについて聞きました。

※本記事では『広報会議』2023年4月号(3月1日発売)の連載「著者インタビュー」の掲載記事を公開します。

マスメディアから個人まで1億総メディア時代の現代社会で、“情報洪水”が起きていると語る筆者。情報を食べ物と例え、これが不要か必要かを問わず、洪水のように溢れかえりながら胃に流れ込み、受け止めきれずに消化不良を起こしている消費者がいる状態だと──。

発信者には誤解なく伝えるスキルが求められ、消費者には情報リテラシーの必要性が問われている。溢れる情報の中から、有益な情報を見つけて読み解き、きちんと消化して発信することが人生をも豊かにしてくれる。

そこで本書は筆者自身のテレビ番組制作経験をもとに、ここ数年の番組での具体例を交えながら「不確実性の高い時代に必要な情報リテラシー」について学生から広報パーソン、メディアの研究者などの社会人まで多くの人たちに伝えるべく執筆した。

『メディアを賢く消費する「情報リテラシー」 情報洪水時代の歩き方』
大野 伸 /著

 

情報の流れとメディアの癖を知る

「まずは情報の循環から理解すべきでしょう。それは情報を入手した後、しっかりと消化して、整理してから発信するという流れです。世の中にある情報の多くは、先ほど述べた消化不良が起こったまま発信されてしまっているため、届けたい人の目に触れることは難しいのです。これはプレスリリースにも共通することだと思います」。

筆者いわく、情報をスムーズに消化するには、各メディアの癖を知ることが重要だという。本書では、次のようにメディアの特色を名付けている。

まず「横のテレビ」。感情への共感性が高く、隣の人と話したくなる話題を提供するメディアだ。町中の人々、まさに横にいる人と同じ目線で話題にするのに最適な情報を出す。

次に「上からの新聞」。世の中全体がどうあるべきなのか、理想を追求し大所高所から論じている。さらに、地域から世界まで最も広く深く知ることができる。

そのほか、情報に時差があるため独自の目線をつけて伝える「斜めからの雑誌」など。
そして、「縦横無尽のネット」。多様な書き込みを重視していることもあり、様々な立場からの意見が飛び交う。言い換えれば、編集されていない、個の集合体の言論である。

「最近はSNSをはじめ、ネット上でフェイクニュースも出回っています。その点、テレビや新聞などのオールドメディアは、一貫して裏どりを徹底して事実を報道として伝えるというポリシーを忘れていません。プロの『編集』には情報がわかりやすく、メリハリをつけて伝える価値があります。若い人たちこそ、オワコンと片付けるには早い媒体でしょう。特に、若年層には自分と異なる意見を取り入れるためにも、オールドメディアにぜひ積極的に触れてみてほしい」。

世の中の動きと事実に即した発信を

前述の内容を踏まえて、広報が大切にすべき情報発信のポイントは2つ。

1つ目は、メディアの癖に合わせた情報発信を心がけること。

2つ目は、情報発信の際には、事実に即しているかを事実関係や撮影される映像の適切性も含めて厳しくチェックすること。

また別の視点では、広報パーソンが日々情報への感度を高めることも重要だ。

「社会の動きにリンクしたプレスリリースは目に留まりやすいですね。例えば、今ならインフレの経済状況の中で、仕入れ価格高騰や人材不足にどう対応しているのかなど。このようにテレビを見る消費者が何を求めているのか。広報パーソンは社会の動きと、広報活動がリンクしているかを確かめることで可能性が広がると思います」。

PROFILE

大野伸(おおの・しん)

日本テレビ放送網「news every.」前統括プロデューサー。早稲田大学パブリックサービス研究所研究員、早稲田塾講師、日本メディア学会会員、sweet heart project(障がい者自立支援プロジェクト)アドバイザー。

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