エキサイトHDが上場 SaaS事業は「拡大の前夜」

エキサイトホールディングス(HD)は4月19日、東証スタンダード市場に上場した。同日開いた記者会見では、プラットフォーム事業や、2018年にエキサイト社をTOB(株式公開買い付け)した後に始めたSaaS・DX事業などの見通しについて発表した。特に、SaaS・DX事業は営業や顧客対応を拡充していく考え。

2023年3月期の売上高予想は、前期比5.3%増の 75億1000万円。Webメディアを含むプラットフォーム事業は前期比10.4%増の32億1000万円。同事業のけん引役はカウンセリングサービスで、売上高見込みは前期比13.8%増。『ウーマンエキサイト』『エキサイトニュース』などのメディア事業は前期比3.2%減となる見通し。

エキサイトホールディングスのセグメント別売上高の推移

SaaS・DX事業は、経営管理クラウドサービスの「KUROTEN(クロテン)」、Webで開くセミナー(=ウェビナー)管理クラウドサービス「FanGrowth(ファングロース)」のほか、DX事業はコンサルティング事業を含む。SaaS事業は増収の一方、DX事業は減収の見込みで、SaaS・DX事業全体の売上高は前期比7.4%減の6億3000万円の計画とした。

エキサイトホールディングスの西條晋一代表取締役最高経営責任者
エキサイトホールディングスの西條晋一・代表取締役CEO

「SaaS事業は現時点で、20〜30社の顧客。概ね好評を得ており、今後、顧客の役に立つ機能をさらに実装したい。営業とマーケティングで伸ばしていく“前夜”だと捉えている。営業担当やカスタマーサクセス担当を増やしていくが、いまのところテレビCMなどは想定していない」(西條晋一社長)

「KUROTEN」はTOB後、エキサイト社の事業を単月黒字化した際のノウハウをつぎ込み、開発した。西條社長は、「昨今、ビジネス領域のSaaSが加熱しているが、経営管理、経営企画分野のサービスはあまりプレーヤーがいない。5月からウェビナーなどを開いて顧客を開拓する。経営者の横のつながりも重視している」と話す。

生成AIの研究も

メディア事業の減収要因には、グーグルの検索サービスが結果を表示するアルゴリズム(処理手順)の変更を挙げる。特にあおりを受けているのは、「『エキサイトニュース』や『エキサイトブログ』」(石井雅也・取締役最高財務責任者)。

女性向けWebメディアの『ウーマンエキサイト』は好調という。マンガコンテンツを増やしたことが奏功し、石井氏は、「定期的にサイトにアクセスするユーザーが非常に多い」とした。

プラットフォーム事業の稼ぎ頭となっているカウンセリングサービスは、「エキサイト電話占い」と専門家のカウンセリングをWebで受けられる「エキサイトお悩み相談室」。23年3月期で新規ユーザーの獲得を進めた。1分あたりの利用料が200円〜300円という料金体系で、平均30分ほどという。

自宅から電話でかけることが多いサービスのため、コロナ禍で在宅時間が伸びたことも後押しとなった。しかし、「この4月も前期以上に伸びており、今後の収束による悪影響はない」と石井氏は見る。

普及が進む生成AI(人工知能)技術の研究にも着手を始めた。カウンセリングの回答データに基づいたコンテンツの生成や、マンガなどの画像生成の可能性を探る。カスタマーサービスでの活用や、SaaSツールの使用ガイドなどにも活用する考え。

一方、生成AIについては、検索サービスを一部置き換える可能性もあり、トラフィック減が起きるとすれば、プラットフォーム事業に影を落とす恐れもある。

4年半で再上場

エキサイトは、インターネットポータルとして1997年に日本法人を設立。インターネット広告市場の拡大を背景に売上を伸ばし、2004年に上場した。その後、ポータルサイトの寡占化が進んだほか、スマートフォンの登場やSNSの台頭などに乗り切れずに低迷。2016年3月期から3期連続の営業赤字となっていた。

その後、2018年に現・代表取締役兼最高経営責任者(CEO)の西條氏が買収し、上場廃止。西條氏は伊藤忠商事の財務部、為替部を経て、2000年にサイバーエージェント入社。金融・ゲーム事業の立ち上げほか、専務取締役COO(最高執行責任者)などを経て、2010〜12年に米国法人の社長を務めた。ベンチャーキャピタルの運営も手がける。

新株発行で調達する約12億円は、プラットフォーム事業やブロードバンド事業の広告宣伝費、システム開発費に充てる。

初値は、公開価格1340円を26.9%上回る1700円。取引は1610円で終えた。売買代金は86億5280万円。

 


 

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