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プログラマティックDOOH、グローバルの潮流-Hivestack 本国CEOインタビュー

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カナダのモントリオールに本社を置き、現在27カ国でプログラマティックDOOHの事業を展開するマーケティングテクノロジー企業のHivestack。来日した、同社のCEO & Co-founderのAndreas Soupliotis(アンドレアス・スウプリオティス)氏に、世界のDOOH市場のトレンドを聞く。
 

―世界のOOH、DOOH市場の現状、トレンドをどうとらえていますか。
OOHは歴史が深く、トラディショナルなメディアと捉えられていましたが、この5年ほどで飛躍的に技術が進化し、大きく変容を遂げてきました。特にOOHにおけるプログラマティック取引が浸透し、グローバルで見てOOH市場のなかでも、プログラマティックが最も高い成長率を記録しています。

2021年時点で世界のOOH広告市場は約500億ドル。この中でアナログのOOHは減少傾向にありますが、DOOH市場が成長を遂げていて、OOH市場3割程度を占めるに至っています。

このDOOHの市場の中には、前述のプログラマティックと従来の商流であるダイレクトの2種類があり、私たちHivestackは前者のプログラマティックDOOH市場の拡大に資するソリューションを提供しています。

現在、世界のOOH市場においてプログラマティックDOOHが占める割合は5%。これが3年で30%規模にまで成長すると言われています。皆さんもご承知の通り、PCやスマホなどのディスプレイ広告の大半は、プログラマティックで取引されています。また、プログラマティック取引が浸透することで、市場が拡大していきました。これと同じようなことが、これからDOOHそしてOOH市場に起ころうとしています。
 

―古くて新しいメディアであるOOHがDOOHとなり、さらにプログラマティック取引が浸透していく。そこに市場性を見出した理由を教えてください。

例えば2022年にGoogleが提供するオムニチャネルDSP「ディスプレイ&ビデオ360」でDOOHの広告配信が可能になったように、グローバルのプラットフォーマーもプログラマティックDOOHに注目しています。私も、こうした動きは市場成長の機会だと捉えています。
 

―ディスプレイ広告などと同様にオムニチャネルDSPにDOOHが組み込まれるようになる上で、課題となったことは何でしょうか。

オンライン広告メディアのバイイングは、1対1が基本です。そして1インプレッション単位でバイイングが可能ですが、OOHの場合には、1対多という構図になっている。複数の人にリーチするOOHをいかにプログラマティック取引の仕組みに取り入れるかという点に技術的なチャレンジがありました。その実現に際しては、データの取得と活用が鍵になりました。

もうひとつのチャレンジが指標の標準化、カレンシーの整備です。国際的な標準の規格の確立が必要となります。

3つ目が広告の効果の証明です。この広告の効果についてはプログラマティック取引だからこそ、提供しうる価値もあると思います。オーディエンスベースのバイイングを基盤としていますので、広告出稿をコントロールすることができますし、広告主が設定するKPIを達成するような運用も可能になります。
 

―OOHのなかでも、最近はリテールメディアに対する関心が高まっています。

リテールメディアは今後の成長が期待される分野です。購買の場であるリアルな店舗に設置されるDOOHは非常にパワフルな効果が期待されます。

加えてリテール企業は購買にかかわるデータなど、1st Partyデータも保有していますので、メディア接触に関するデータと組み合わせることで、マーケティング投資、広告投資の効果測定もより制度高く実現していくようになると考えています。当社でもデータクリーンルームの技術を用いて、Hivestackのプラットフォーム上で、リテール側の1st Partyデータと広告主が保有するデータを結合し、広告効果を測定できる環境を整えています。

またリテールメディアに加えて、「デジタルプレイスベースドアド」と言われる、主に屋内に設置されるDOOHも今後、伸びていくと考えています。スポーツジムや飲食店、オフィスなど、一定の属性や嗜好を持った人が集まる場所に設置されるメディアですが、これらは今後プログラマティックの取引に乗っていき、より広告主が活用しやすくなると思います。
 

―Hivestackは日本ではLIVE BOARDに対して、プラットフォームを提供する形で事業を展開しています。

私たちが日本での展開に際して、LIVE BOARDというエクスクルーシブなパートナーを得られたことは大きな意味のあることでした。

HivestackはLIVE BOARDにフルスタックのテクノロジーを提供していますが、活用に際して精度を高めるのがデータの存在。日本市場ではLIVE BOARDと組んだことで、NTTドコモが提供するデータを活用することができていますし、それが広告効果把握の精度につながっていると思います。
 

―DOOHもオーディエンスベースでのバイイングが可能になると、ディスプレイ広告のように広告クリエイティブの出しわけといったことも求められてくると思います。この領域でAIの自動生成機能の活用は進んでいるのでしょうか。

AIの活用は進んでいくと思います。まずは、DOOHはディスプレイのサイズが異なるケースも多いので配信先に合わせて、リサイズを自動で行うといった機能で活用が進んでいくと思います。

その先では、広告の効果をさらに高めるために、Hivestackでは「ダイナミック・クリエイティブ・オプティマイゼーション」が実現できる環境を整えています。時間や気象条件、オーディエンスなどの変化に合わせて、広告を出し分けていく。ここにおいてもAIを用いたクリエイティブの自動生成機能は大いに活用が進むと考えています。
 

Hivestack CEO & Co-founder
Andreas Soupliotis(アンドレアス・スウプリオティス)氏

ソフトウェアとテクノロジー・ビジネスにおいて22年以上の経験を持ち、マイクロソフト社で10年間にわたり様々な研究開発職に従事。2003年にOOHおよびパブリック・ビデオ事業者向けのソフトウェア会社ーAyuda Media Systemsを設立し、14ヵ国でサービスを展開。その安定した事業展開、財務体質、および広告配信管理システムが評価され、Ayudaは2019年、DOOHマーケティング・プラットフォーム事業者のBroadsign Reachに買収された。2017年9月には、プログラマティックDOOH広告のフルスタック・マーケティング・テクノロジー会社、Hivestackを設立。