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事業成長につながる インターナルブランディング/FRACTA

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「企業がブランディングを推進する際、実はインターナルコミュニケーションが成功の鍵を握っているのではないか」。これまで多くの企業のブランド構築、ならびに成長を支援してきたFRACTAの調査研究「Research & Implementation局」に所属する松岡芳美氏は、この仮説を検証するべく立ち上げた、「インターナルブランディング研究会」で参加者を募りながら、事業成長に際してインターナルブランディングが果たす役割や効果について議論を重ねている。6月6日に開かれた第1回の研究会では、「事業成長を加速させるインターナルブランディング」をテーマに、FRACTAを含めた5社が議論に参加した。

写真 集合 人物 (左から)マクアケ 執行役員品質保証本部兼人事本部長 坂本めぐみ氏、ブロードマインド ビジネスストラテジー本部 経営企画室 広報チーム マネージャー 冨永冴季氏、FRACTA Research&Implementation局 松岡芳美氏、PR TIMES 執行役員 カスタマーリレーションズ本部長 三浦和樹氏、ヌーラボ 代表取締役 橋本正徳氏
(左から)マクアケ 執行役員品質保証本部兼人事本部長 坂本めぐみ氏、ブロードマインド ビジネスストラテジー本部 経営企画室 広報チーム マネージャー 冨永冴季氏、FRACTA Research&Implementation局 松岡芳美氏、PR TIMES 執行役員 カスタマーリレーションズ本部長 三浦和樹氏、ヌーラボ 代表取締役 橋本正徳氏

指針は大事。指針と言動の一致ははもっと大事

「インターナルブランディングは、投資効果が非常に見えづらいものです。ただ、戦略次第では、単なる社内向け施策にとどまらず、その先にいる顧客に対してもこれまでにない体験価値を提供し、ブランド成長や事業成長につながる道筋を描けるのではないでしょうか」。こう問いかける松岡氏に対して、参加した4社の担当者は、まず自社の課題感や取り組んでいる施策について共有した。その上で、ビジョンやミッション、経営者のメッセージといった企業の指針を社内に浸透させるには何が必要なのか議論を重ねていった。

「ミッション、ビジョン、バリュー(以降は「MVV」と表記)があれば、人は共感して力を発揮してくれるし、組織に対するエンゲージメントが高まる。これはドラッカーも言っている、ある意味で定説的なこと。でも、そもそもそれって本当なのでしょうか」。ヌーラボの代表取締役である橋本正徳氏がこう疑問を呈し、「それは労働者過多の時代の話であって、労働者が減っている今の時代に通用するのか」と投げかけると、議論はより深まっていった。

「少なくとも、MVVと経営者の行動が一致しているかどうか、社員は見ていると思います。私自身も、お客さまにどう対応しているか社員にしっかり見られている実感があります。言行一致が甘いと、もはやMVVでは共感もエンゲージメントも得られませんよね」。こう話すのは、PR TIMESの執行役員でカスタマーリレーションズ本部長でもある三浦和樹氏だ。

創業後すぐ、総務担当や採用担当などに先駆けて「カルチャー担当」を置き、カルチャー浸透のために数々の施策に取り組んできたマクアケの執行役員品質保証本部長兼人事本部長である坂本めぐみ氏は、次のように話す。「カルチャーを重視する当社では、会社や事業に共感している人しか採用しないので、言語化されているMVVは間違いなく大事です。実際に、MVVを社内に浸透させる施策もたくさんあります。でも、そうした施策が果たして本当に企業や事業の成長に寄与しているのか、短期的な数字としてはわかりません。それに社員はMVVに共感している分、MVVを経営として体現しているかどうか、サービスに落とし込めているかどうかにすごく敏感です。少しでも言行の不一致があると、モチベーションは下がってしまいます」。

ブロードマインドの広報チームマネージャーである冨永冴季氏も、MVVは大事だが、策定して掲げただけだと効果はないと話す。「社員一人ひとりの日々の業務のなかで、一見すると言行不一致に感じるようなことも出てくると思います。それでも大事なのは、日々の業務とパーパスのつながりを見せてあげることではないでしょうか。当社も『内省シート』というものを使って実践していますが、『あなたの業務は、こうしてパーパスにつながっているよ』と自覚させてあげることで、社員のパーパスへの共感度が高くなることを期待しています」。

こうした意見を踏まえて、「張りぼて」「絵に描いた餅」にしないよう、MVVのような指針と実際の言動やアクションをつなげていくことこそが、指針の浸透にとって重要である、という結論に帰着した。

注目され浸透する発信のスタイルとは?

議論は、「指針を社内に浸透させるにあたり、発信を担う経営層は、どれくらいの頻度でどれくらいの強さで発信していけばよいのか」という話にも及んだ。「発信者である経営者の特性に合わせて、企業ごとに発信のスタイルは変えていくべきか」という松岡氏の問いかけに対して、それぞれ意見が出た。

ブロードマインドでは、経営者の特性に合わせて発信の工夫をしていると冨永氏は話す。「たとえば、当社の代表は自身の考えなどを前に立って発信することよりも、日頃から社員と個別のコミュニケーションで伝えることを大切にしていると思います。ですので、発信の頻度を増やすよりも、大事な場面では必ず前に出て話してもらうことを重視したり、話すテーマをこちらで挙げたり工夫しています」。

坂本氏も、発信者のパーソナリティーによってスタイルを変えるのはごく自然なことだと言う。「普段はあまり発信しない人がポロッと本音を言うと、みんながすごく興味を示すし、期待度も高まるので、発信者のメッセージがより強く伝わる側面はあるのではないかと思います」。

橋本氏は、浸透が目的の場合は、経営者が話しすぎない方がよいと語る。「経営者が発信すると常に一方通行になってしまう。ある程度の起爆剤として僕がMVVを言うのはよいけれど、みんなにいろいろと話してもらって、それに僕が回答していく方が浸透は早いなと感じます。最近は社内報にあった社長のコメント欄をなくし、社員の社長に対する質問に回答するコーナーへと変更しています」。

三浦氏は、経営者に限らず、社員が心を揺さぶる発信をする機会は積極的につくっていくべきだと話す。「発信者は経営者に限りません。たとえば、当社では社員総会を年に2回実施していて、その日を『バリューを体現する社員が目標を見つめ直し、次なる行動の起点とする日』と定義しています。総会で最優秀賞に選ばれた人やチームは、全社員の前で話をするのですが、彼らの言葉が人の心を揺さぶることも多い。会社をどうしていくか、世界をどうつくっていくかという意味でも、経営者に限らず発信者の言葉が人の心を揺さぶる機会はもっと積極的につくっていきたいです」。

インターナルブランディングに関するディスカッションは、第2回研究会に続く。

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第1回研究会を終えて

「多様化がますます進む社会において、これまでのインターナルブランディングの考え方でよいのだろうか」という疑問から発した本研究会ですが、まさにその点において議論が活性化したのは大変興味深く、嬉しくもありました。次回以降も、より一層議論を深めていきたいと思います。



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