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西田善太氏に聞く「広告主自らメディアを持つことができる時代、出版社にしかできない提案ってありますか?」

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広告市場においてはインターネット広告が今も成長を続けている。その一方で、近年はマスメディア企業のDXの強化、それに伴う新たな広告商品の開発が進んでいます。月刊『宣伝会議』では毎月、大手マスメディア企業の広告営業に関する戦略を取材。今回は、14年にわたり『BRUTUS』の編集長を務め、現在は広告局、ブランドビジネス局、クロスメディア事業局とマガジンハウスの広告営業領域のすべてを統括する、西田善太氏に雑誌ブランドのこれからの広告・メディアビジネスの可能性について聞きました。

※本記事は月刊『宣伝会議』2023年12月号に掲載の「メディア企業に聞く広告営業戦略」記事を転載したものです。

広告局と編集部の連携強化で提案に必要なスピードを実現

広告主企業から出版社に求められる提案は、純広告が中心だった時代から、タイアップをはじめとするカスタム要素の強い企画に移行してきた。デジタル出稿も進む中で、広告営業を担う部門と編集部の連携がこれまで以上に求められており、出版各社で社内の人事交流や異動、組織変革を進める動きが見える。

マガジンハウスでも2007年から14年にわたり『BRUTUS』の編集長を務めてきた西田善太氏が、現在は同社・取締役として広告局、ブランドビジネス局、クロスメディア事業局を担務している。

営業活動を行う広告局、同社の総合クリエイティブチームである「マガジンハウスクリエイティブスタジオ」、ローカル報のウェブマガジン「COLOCAL(コロカル)」などの事業を展開するクロスメディア事業局、デジタル領域での新規ビジネス開発と全社横断的なDX推進を担当するブランドビジネス局の3部門すべてを西田氏が担当している。

西田氏は「クライアント企業からの相談に対して、これまで以上のスピード感を持って応えていかないとチャンスを逃すことになりかねない。相談に対して、編集部の知見や人脈を生かした企画案を即、提案できる体制が整ってきた」と社内に起きている変化を語る。加えて、同社の強みである独自性を持った複数のメディアブランドに横串を刺した企画も実現しやすくなっているという。

さらに西田氏が最近、注力していることのひとつに、ブランドビジネス局内に発足させた映像チームがある。まずは『BRUTUS』の特集からスピンオフした、オリジナル動画シリーズを月に2本の頻度で公開している。「書店の数が減っていることを考えれば、どれだけ魅力的なコンテンツをつくっても紙以外のデリバリー手段を考えていかなければ、そのコンテンツは存在しないも同じ状況になってしまう。一方で面白い企画を思いついたとき、雑誌で特集を企画する以外に、映像をつくったり、音声をポッドキャストで配信したり、使える武器が増えているとも言える」と同氏は語る。

さらに「すでにクライアントが自ら広告運用できたり、メディアを持つことができる時代に、私たち出版社に求められるのは、かつてのようなGRPだけではない。エンゲージメントであったり、企業が自分たちだけで得ることが難しい顧客や広告効果を提供していきたい。クリエイティブ力に強みを持つマガジンハウスだからこそ、できることが多くあると考えている」と展望を語った。

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写真 人物 マガジンハウス 西田善太 氏

マガジンハウス 取締役
(広告局、ブランドビジネス局、クロスメディア事業局担当)
西田善太 氏

マガジンハウス・取締役、編集者。コピーライターを経て、出版社マガジンハウスに入社。雑誌GINZA、Casa BRUTUSの創刊に関わった後、“ポップカルチャーの総合誌”、BRUTUS編集長を務める(2007年~2021年)。14年間の編集長時代に322冊の特集を世に送り出し、「好奇心を人任せにしない」という座右の銘を心に刻み、今は12ある雑誌ブランドのビジネス全般を統括する。