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5倍のスタッフ動員、秒単位の接客…コミケの大混雑を制すベローチェのサービス戦略

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販売・接客の現場で活躍する、キーパーソンに迫る本企画。今回は、カフェチェーンのカフェ・ベローチェ(以下、ベローチェ)有明店の富田真希子氏が登場。東京ビッグサイト前に位置する同店は、大型イベントの開催時には混雑を極める。スーパーバイザーの富田氏が考える、迅速かつ丁寧な接客の秘訣とは。

※本記事は11月1日発売の月刊『販促会議』2023年12月号の抜粋記事です。

今月のキーパーソン

写真 人物 プロフィール C-United 営業本部 第一営業部スーパーバイザー 富田真希子氏

C-United
営業本部
第一営業部
スーパーバイザー
富田真希子氏

大学卒業後、2006年に入社。店舗での勤務経験後、店長として10年ほど都内のカフェ・ベローチェ14店舗を経験。2019年より、スーパーバイザーとして勤務。現在は都内8店舗を担当。

「迅速かつ丁寧」がベローチェ流 動作は秒単位の時間短縮を意識

コミックマーケット(以下、コミケ)は、毎年8月と12月に東京ビッグサイトで開催される、世界最大級の同人誌即売会だ。イベントには、コミック、アニメなど、幅広いジャンルの同人誌制作者やファンが集まり、国内外からの多くの参加者と来場者を魅了している。

コミケの開催時、東京ビッグサイト周辺は、数十万人もの来場者で賑わう。東京ビッグサイト前に位置する「カフェ・ベローチェ 有明店」も同様だ。実は、コミケ開催のたびに、そのハイレベルな店舗オペレーションがSNSを中心に注目を集めている。

コミケの時期になると、ベローチェ有明店には効率的なオペレーションの実現を図るため、各業務の熟練度が高いスタッフが集められる。スタッフの多くは、他店の店長を務める人材で、その高いスキルから、イベントの休憩に訪れる来場者を楽しませているという。同店のスーパーバイザーが考える、接客のキーポイントを取材した。

──担当業務と、普段の接客で心がけていることを教えてください。

現在、スーパーバイザーとして、複数店舗のトレーニングやフォローアップを担っています。今年の8月まで有明店のスーパーバイザーを担当し、コミケ時には店舗の全体指揮を統括していました。

店名であるベローチェは、イタリア語で「迅速」を意味します。そのため、ベローチェではスピーディーなサービス提供を重視しています。同時に、お客さまに寄り添った丁寧な接客も欠かせません。

その中でも、お客さまと最もコミュニケーションが取ることのできるレジでの接客時のアイコンタクトと挨拶は、常に心がけています。また、退店時のアイコンタクトも大切にし、最後までコミュニケーションに気をつけていますね。

写真 人物 個人 カフェ・ベローチェ 有明店の富田真希子氏
お客さまの入退店時、レジ接客の際のアイコンタクトを心がけていると富田氏。セルフサービス式の同店では、少ない接客時間を活用している。

コミュニケーションの質だけではなく、スピード性を担保するためには日常的な心がけも必須です。例えば、商品により近い手を使うことで、手が交差せず、作業の迅速化が図れます。小さい動作ですが、お客さまの満足度を高めるために、1秒でも効率よく行える方法を日々模索しています。

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平常時の5倍ものスタッフを動員 コミケ期間のマネジメント力とは

──コミケ開催中、店舗の体制はどのようになるのでしょうか。

まず、コミケなど大規模なイベント期間中は、お客さまへの待ち時間を最小限に抑えることが最も重要です。その上で、コミケの期間中は通常の営業とは異なる特別な運営体制を整えています。

運営スタッフには全国の店舗から優秀な店長を選出し、それぞれの担当ポジションに配置。店内ではレジ、ドリンク、パスタ、スイーツ、ホットドッグなどの業務に対して担当者を1人ずつ配置します。コミケの期間中は通常の5倍近くのスタッフが稼働し、万全な態勢づくりをとっています。

──通常時とイベント中の接客に違いはありますか。

イベント期間は、特に多くのお客さまに訪れていただくため、もちろん通常の営業よりは忙しいです。ただその分、この期間を楽しみにしているお客さまが多く、より一層接客の楽しさを感じています。お客さまに対しては、イベント時の高いテンションに合わせながら、心地よく休憩していただき、楽しんでいただけるよう対応にあたっています。

一方で、統括者として店舗内のスタッフの動きについて、的確な指示も必要となります。コミケ期間中は初めて一緒に働く他店のスタッフもいるため、円滑なコミュニケーションを心がけ、お互いに協力しながら声をかけ合っています。

イベント時の接客から学ぶポイント 情報共有が生むスムーズな対応

──イベント時の接客が、通常時の業務につながると感じることはありますか。

通常時は一緒に働かないスタッフが一堂に会するイベント期間には、事前に性格や得意分野を把握して、協力体制を築くことが非常に重要だと感じます。また、情報共有は、スタッフ同士の信頼関係を築くために欠かせない要素です。例えば、有明店の商品の配置や提供するサービスについて共有することで、お客さまへの提案や案内が一貫性を持って行えるようになります。

また、情報共有の際には、相手に合わせた視点で行うことを心がけていますね。情報は数字などの定量的なデータだけではなく、挨拶といった定性的な要素も含め、適切なコミュニケーションを通じて共有することが大事だと思います。

写真 人物 個人 カフェ・ベローチェ 有明店の富田真希子氏
1998年開店の同店。181席を完備した広々とした店内は、ワーク目的で訪れる人やイベント参加の合間に立ち寄る人など、様々な利用目的に対応している。

──有明店での経験を踏まえて、今後どのような接客を心がけていきたいですか。

接客業務のコミュニケーションにおいて、一番大切にしているのは、お客さまのペースに合わせることです。そのため、それぞれのお客さま一人ひとりに合わせたコミュニケーションが取れるスタッフを育成することが、今後の課題だと思っています。

店員自身がお客さま目線で接客を行うことは、お客さまのニーズや期待を理解しやすくなります。お客さまの視点を大切にし、お互いに気持ちよくコミュニケーションを図ることが大切です

そういった意味でも、多くのお客さまとコミュニケーションをとれた有明店での経験を活かし、今後の接客業務や現場のマネジメントをよりよいものにできるよう、努力したいと思います。

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