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「サウンドバーガー」待望の復活 オーディオテクニカの“ヒット”の仕掛け方

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月刊『販促会議』で連載している「ヒットの仕掛人に聞く!」。話題のヒット商品・サービスがヒットに至った経緯を、開発の背景やプロモーション戦略からひも解きます。

今回は、オーディオテクニカ「サウンドバーガー」。ファン待望の復活の裏側や、若年層の心を動かした1980年代を彷彿とさせるクリエイティブの制作背景などを聞きました。

※本記事は、月刊『販促会議』12月号 連載企画『ヒットの仕掛人に聞く!』に掲載されています。

※制作はこちら を参照いただけますと幸いです

■商品情報
商品名:サウンドバーガー「AT-SB727」
希望小売価格:オープン価格
主な販路:公式オンラインストア、家電量販店など

 

オーディオテクニカ
マーケティング本部
デジタルマーケティング課
マネージャー
松本竹見氏

2003年入社。コンシューマー営業、宣伝販促部署を経て現職。2020年にデジタルマーケティング部署を立ち上げ、直販事業とデジタルマーケティング戦略の責任者を務める。

 

デザインはそのままに機能はアップデート

──「サウンドバーガー『AT-SB727』」について教えていただけますか。

「サウンドバーガー『AT-SB727』」は1982年に発売した「サウンドバーガー」の復刻プロダクトです。2022年11月に、当社の60周年記念モデル「サウンドバーガー『AT-SB2022』」として世界で7000台の数量限定で復刻したところ、発売開始後すぐに完売となり、ありがたいことに再販を望む声もたくさんいただきました。そのようなこともあって、お客さまの声にお応えするかたちで2023年の5月に通常販売を開始することになりました。

商品の最大の特徴は片手でも持ち運びができるレコードプレーヤーということですね。「サウンドバーガー」はその名の通り、レコードをハンバーガーのパティのように挟んで楽しめるデザインも個性的です。

復刻にあたって、性能面では現代のデマンドに対応できるようにBluetoothやUSB充電式など、アップデートを行いましたが、外見のデザインは変えないようにこだわりました。当時はCADもなく、データも保存されておらず、設計図も金型も残っていない状態であそこまで忠実に当時のデザインを再現できたことにはエンジニア魂を感じています。

 

若年層には新鮮さがある「80’s」にこだわる

──プロモーションではどのようなことをされましたか。

昨年に復刻版を発売して以来、「サウンドバーガー」の存在はSNSなどで継続的に話題になっていました。しかし、再販を伝えるプロモーションはもちろん必要ですよね。

そこで、今回の発売に合わせて行ったのがグローバルで期待感を高めるようなティザームービーの制作です。広告配信先はTwitter(現X)やInstagramなど。発売以降もSNSを中心に情報を発信しています。

 

──2023年5月の再販にあたり、ターゲット設定はどうされたのでしょうか。もともとのコアファンへ向けてなのか、新規の獲得を目指されたのか、どちらでしょう。

広告コミュニケーションのターゲットには、1982年版の「サウンドバーガー」を知らないような若年層においています。だからこそ、ティザームービーなどの広告配信はSNSを中心に行ったのです。

一方、商品としては、若年層に加えて、発売当時を知るコアユーザーやオーディオファンも意識しています。実際、今回の復刻を機会に、レコードは持っているけれど最近は配信やモバイルデバイスで音楽を聴いていたという人たちにもう一度レコードを聴いてみようと思ってもらえているようで、これは個人的にも嬉しかったですね。

 

──ティザームービーなどの内容ではどんな工夫をしましたか。

近年、アーティストたちがアナログレコードを発売していることもあり、レコードを持っている若者が増えています。しかし、聴くための機器がないのでレコードがインテリアになってしまったり、飾りとして活用しているケースも多いんですよね。

そこで今回の再販ではコミュニケーションメッセージを「SAVE THE VINYLS」とし、自宅で眠っているアナログレコードを「サウンドバーガー」で救うというレトロゲーム調の動画を制作しました。クリエイティブでは初代「サウンドバーガー」が人気を博した時代である、1980年代のテレビゲームやファッション、色づかいで世界観に一貫性を持たせるよう、徹底的にこだわりました。

1980年代は、初代プロダクトを知る世代には懐かしく、一方、現代の若者にとっては「未知でクール」なものです。その懐かしさや、「未知でクール」という価値観が、アナログレコードへの興味や所有欲、使いたい、聴きたいという欲求へつながっているはず。そう考えて、ティザームービーではそういった価値観を刺激することを目指しました。

制作にあたっては、初代プロダクトの広告も研究しました。実際に今回の再販用に制作したものを比較してみると、結構似ていたんです。時代は変わっても、商品の本質的な価値は変化していないということの表れなのではないかと思いましたね。音楽やファッションの流行は一定周期で循環しているといわれますが、今回は良いアウトプットになったと感じています。

 

「サウンドバーガー」としてブランド化を目指す

──実際の購買へつなげるためには何か施策を実施されましたか。

若年層は広告を押し付けと感じる傾向にあるので、ユーザーからの口コミや、SNSのUGCが購買のきっかけとなることを重視しました。「サウンドバーガー」は世界展開しているので、UGCは日本国内だけではなくて世界中で生み出されているんです。海外ユーザーの投稿ではライフスタイルやファッション、カルチャーに敏感な人たちがアウトドアでレコードを楽しむ様子をアップロードしてくださっていて、嬉しく思っています。

 

──今回のSNSプロモーションを経て、成功した要因は何だとお考えでしょうか。

今回は情緒面を意識したことがうまくいったように感じています。ターゲットや消費者の分析ではデジタルマーケティングの強みを生かしつつ、そこから見えてきた顧客目線で「欲しい」「買いたい」と思ってもらうためのコミュニケーションを考えることが多いと思いますが、今回は良い意味で、そこまでデータを活用しなかった――。

本記事の続きは、月刊『販促会議』12月号 連載企画『ヒットの仕掛人に聞く!』にてお読みいただけます。

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