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2期連続赤字から復活を遂げた ブックオフ堀内社長の「現場力」

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新しい時代における流通・小売・サービス業界で、自ら事業を牽引するキーパーソンに迫る本企画。第8回はブックオフグループホールディングス 代表取締役社長 堀内康隆氏。上場以来、初の赤字となった経営状況で就任。その後、会社を復活へと導いた「トップの現場力」に迫る。
※本記事は、月刊『販促会議』1月号に掲載されています。

写真 人物 プロフィール ブックオフグループ ホールディングス 代表取締役社長 堀内康隆氏

ブックオフグループ ホールディングス
代表取締役社長
堀内康隆氏

慶應義塾大学経済学部卒。コンサルティング会社を経て、2006年3月にブックオフコーポレーション㈱入社。取締役執行役員、子会社代表取締役社長を歴任し、2017年4月ブックオフコーポレーション㈱代表取締役社長に就任。2018年10月、ブックオフグループホールディングス㈱設立に伴い代表取締役社長に就任。

上場以来、初の赤字転落 トップダウンからの脱却を決意

──社長に就いたのは2017年。上場以来、初めて2期連続の赤字経営となった翌年でした。

私がブックオフに入社したのが2006年。2013年頃から前社長直下で、経営企画を担当し始めました。その当時、「ブックオフは変わっていかなければならない」と前社長のもとでさまざまな変革を進めてきたのですが、残念ながら結果に上手く繋げることができず、2期連続赤字という悔しい結果に。そこで前社長が責任を取って身を引くことになり、私はその後任というかたちで社長に就任しました。

──赤字転落の理由は何だったのでしょうか。

理由は大きく2つ。1つは、百貨店で買い取りを実施する「ハグオール」という新規事業と、全国の「ブックオフ」の店舗に一律に「家電」の取り扱いを急ピッチで進めたのがあまり上手くいかなかったことです。

それこそ前社長と今後のブックオフについて話していたときに、構想していたのは、「本に限らず様々なものを買い取り、“リユースのブックオフ”として進めるのはどうか」ということだったのです。

そこで、まず始めたのが家電でした。ですが、家電の買い取りを進めていくと、上手くいく店舗とそうではない店舗の差が如実に出たのです。上手くいかなかったお店の中には、「まだ本で勝負できる」という声を耳にしたこともあったのですが、変革を一気に進めるために本社主導・トップダウンで事業を進めていたこともあり、「家電をやろう」と言い続けてしまった。そのため各店舗も「本部の指示だから」と、家電の買い取りを進めることへの当事者意識が薄れてしまったのです。

つまり赤字の理由のひとつとしてネックだったのは、このトップダウン。「本だけではない、リユースのブックオフを目指そう」と家電の買い取りを進めたことは間違いではなかったものの、その“進め方”や“やり方”には課題、問題があったと気づきました。

“強い”現場の理由を求め年間150の店舗を訪問

──そこで行ったのが、全国の店舗への訪問だったのですね。

その通りです。私は入社以来、ITやシステムなど、業務のほとんどを本部で過ごしてきました。要は、あまり現場を知らなかったのです。「このままではいけない」と思い、就任した最初の年に150の店舗を回りました。店舗を訪問するなかで目的としていたのは、業績が良い店舗と思わしくない店舗の違いを発見すること。とりわけ、なぜ良いのかという点をしっかり見極めることでした。

実は、当時から業績が良く、ブックオフの経営を引っ張ってくれていたのは地方のロードサイド店だったのです。最初に赴いたのは、とくに業績が良かった秋田・能代と、福岡・大牟田の店舗。日頃の感謝を伝えるとともに、業績の良い理由を探しにいきました。そこでわかったのは、やはり主体性の有無が影響しているということ。「自分たちはこのお店をどうしたいのか」が明確な店舗は強いということを確信した瞬間でした。

業績の良い現場を自分で目の当たりにしてからは、既存店に向けて「店が成し遂げたいこと」を実現するための予算を用意しましたね。お客さまや地域のことを一番知っているのは現場です。そこがやるべきだと考えたことはしっかり実現していこう、と。そういう意図で行ったものでした。その結果、業績も着々と回復。人が起点になって動くことの価値を改めて実感しました。

──コロナ禍の当時はどのような想いでいらっしゃったのでしょうか。

コロナ禍は誰もが初めての経験で、判断の良し悪しがつかなかったというのが正直なところでした。

幸い、経営状況は巣ごもり需要もあって、堅調に進んでいましたが、壁となったのは、当社の価値である現場の運営。ショッピングモールに入っている店舗はそもそも閉業や時短営業になりましたし、何より印象に残っているのは「働くのが怖い」という従業員の声でした――。

本記事は、月刊『販促会議』1月号でお読みいただけます。ご購入はこちら から。

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