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開発者の熱がメディアにも伝播 「パキット」の広報戦略

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発売2カ月で100万食超を出荷し、2023年11月中旬までに売上約260万食を突破した永谷園のパスタソース「パキット」。“ゆでないパスタ”というタイパを意識したこの商品を同社の広報ではどのように発信したのか。
※本記事は『広報会議』3月号(2月1日発売号)に掲載する記事の一部を転載しています。

永谷園は2023年3月13日に、電子レンジ調理のみでパスタが完成するパスタソース「パキット」を発売した。「パキット」は、市販の乾燥パスタを2つに折ってソースが入った袋に入れ、水を加えて電子レンジで加熱。そのまま電子レンジの庫内で蒸らし、最後に袋の中で麺とソースを混ぜ、13分で完成する(メニューによってレンジ調理と蒸らし時間は異なる)。

写真 商品・製品 永谷園「パキット」
2023年3月に第1弾として「パキット ボロネーゼ」、「パキット カルボナーラ」、「パキット ペペロンチーノ」を発売。2023年9月にはシリーズ第2弾として「パキットたらこ」が発売された。

通常パスタをつくる場合、鍋で麺をゆでたりソースを温めたりと手間がかかるが、「パキット」では鍋も不要なため洗い物も減るという、タイパを意識した商品となっている。

社内にあるストーリーを整理

マーケティング本部の酒井繁氏は、「パキット」の広報活動を行う上で最初に注力したのは、商品の企画背景や開発秘話といった社内にあるストーリーを整理し、広報として発信するベースづくりを徹底して行うことであったと話す。

「『パキット』は、開発者の着想や開発に至るまでの経緯などが社内の人間から見ても非常に魅力的な商品でした。このストーリーと生活者自身の気持ちとをリンクさせることができれば、商品の特徴や価値も伝えられると感じたため、まずは社内にある情報を整理し、広報の基盤をつくりました」。

「パキット」は、商品開発を担当したマーケティング企画部の三田友理恵氏が、仕事で疲れて帰宅した際に「パスタを食べたいが、ゆでるのが面倒」だと感じ、自分自身も「ゆでないパスタ」がほしいという気持ちからスタートし、1000回を超える試作の末、誕生した商品。いち生活者の視点に立った三田氏の思いから生まれた商品だからこそ、このストーリーを生活者に届けたいと考えたと酒井氏は話す。

開発秘話は広報PRメディア『PR TIMES STORY』『PR TIMES TV』で掲載したほか、「パキット」のブランドサイトにも三田氏本人が語る開発コンセプトムービーを配置した。

写真 カット 「パキット」ブランドサイトで公開されている開発コンセプトムービー
「パキット」ブランドサイトで公開されている開発コンセプトムービー。

“体感”を重視した商品発表会

さらに、これらのストーリーをメディアに向けて直接発信するために、同社は発売前にウェブメディアを中心に招待をし「『パキット』新商品発表会」を開催した。

「私たちが想定していた『パキット』の主要ターゲット層は“働く女性”でした。ターゲット層は日頃、SNSなどのオンライン上で情報探索を行うことが多いとの仮説から、今回の発表会はウェブメディアの方を中心にお声がけしました」と広報部の石井智子氏は話す。

発表会でも開発にかかわるストーリーを熱量高く伝えるため、三田氏や品質開発を担当した研究開発部の篠原由加里氏が登壇してディスカッションを実施。また、「パキット」の特徴である“タイパ”を記者にも体感してもらうための工夫も行った。

「『パキット』の調理時間は電子レンジでの加熱プラス蒸し時間の計13分です。実際にメディアの方にも13分を肌で感じていただくため、発表会では調理のデモンストレーションを実施。商品を電子レンジに入れてから完成するまでの13分間で商品特徴などを説明し、13分経って商品が完成したタイミングでメディアの方用の試食をお渡しして食べていただくというプログラムを組みました。さらに、お土産として1食分の商品をお渡ししたことで、実際にご自身で調理をしてから記事を書いてくださった方も多く、各メディアで商品の魅力が詰まった記事を掲載いただくことができました」(酒井氏)。

図 「『パキット』新商品発表会」のプログラム

写真 実データ 「『パキット』新商品発表会」のプログラム

写真 イベント 「『パキット』新商品発表会」の様子
「『パキット』新商品発表会」の様子。

発表会の日程が合わないメディアなどには、メディアキャラバンを行うこともあるといい、丁寧に商品の価値を伝えることに徹底して取り組んでいるという。

—本記事の続きは『広報会議』2024年3月号(2月1日発売) に掲載しています。

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