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Z世代の感性を生かした新店舗 「ヒトツブカンロ原宿店」オープン、カンロ

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Z世代だけでなく、次の世代も視野に

カンロは4月17日にキャンディショップ「ヒトツブカンロ原宿店」をオープンする。場所は同日開業予定の東急プラザ原宿「ハラカド」(東京・原宿)で、常設店としては「グランスタ東京店」(東京・千代田)に続く2号店となる。学校法人自由学園のインターンを受け入れ、高校生の意見を店舗づくりに取り入れる。同社はZ世代の取り込みを強化しており、2月8日開催の「2023年度決算・2024年度経営方針発表会」で具体的な施策を発表した。

原宿でオープン予定の「ヒトツブカンロ原宿店」(イメージ)

「ヒトツブカンロ原宿店」のオープニング企画として、10~20代女性で原宿への関心が高い人に向けて「ASMR体験イベント」を実施する。「ASMR」とは、特定の音や視覚的な刺激が引き起こす心地よさで、同社の人気商品「グミッツェル」を食べる咀嚼(そしゃく)音を録音した動画がSNSで流行。イベントでは録音機材を用意し、ASMRの動画制作などを体験できる。

「ハラカド」の3階で「KanroPOCKeT LABO」も同日オープン。オンラインショップ機能を備えた情報発信プラットフォーム「KanroPOCKeT」との連動で、オンラインとリアルの両面でファン同士の交流を促す。接点強化によってファンの意見を商品開発などに取り入れる考えだ。

マーケティング本部長の内山妙子氏によると、今後はZ世代だけでなく、次の世代以降への訴求にも焦点を当てるという。特に、飴は10~20代の若年層の喫食経験の少なさが課題。高齢者の喫食率が高い理由について、嗜好品が少なかった昔は飴を食べていた子どもが多かったためとみており、内山氏は「若い世代は子どもの頃の原体験がない」と指摘する。生まれて初めて食べる飴としてカンロが選ばれるためには、子どもにお菓子を買い与える親世代にも訴求する必要があると話した。

発表会で登壇した代表取締役社長CEOの村田哲也氏(左)と常務執行役員CFOの阿部一博氏

方針発表会では2023年度の振り返りと2024年度の施策について発表した。キャンディ市場の拡大や生産体制の強化が追い風となり、2023年度は過去最高益を達成。売上高は前年度比15.5%増の約290億円、営業利益は同75.3%増の約33億8800万円で、3期連続で増収増益となった。

人員増強や生産体制の整備で生産性が向上したことで、原材料高でも業績予想を上回る着地となった。市場シェアはキャンディ市場全体で12.5%(同0.3%増)、飴も20.8%(0.4%増)でトップシェアを維持。他メーカーとの競争激化によりグミは15.7%(同0.2%減)となったもののシェア2位を堅守した。

インテージのデータによると、飴やグミを含むキャンディの市場規模は3000億円を超えた。グミの成長が加速しており2023年は前年比24.1%増。飴も「のど飴」の需要が伸びたことで同13.3%増だった。全チャネルで販売が増加しており、人流の回復でコンビニが大きく伸び、スーパーを上回った。

2024年度は前年度比4.4%増の303億円の売上高を目指す。2024年2~3月に実施する価格改定を含む増収も想定。「金のミルク」、「ピュレグミ」シリーズなどが対象で、希望小売価格3~16%程度の値上げまたは内容量8~14%の減量を行う。

売上高500億円、営業利益率9%以上、ROIC10%以上を財務目標に掲げる「KanroVision2030」の実現に向けた取り組みも推進。「ブランド基軸経営と顧客起点」などを挙げ、顧客拡大と関係深化を強化する考え。顧客の拡大では商品ブランドを生かしたZ世代やインバウンドの獲得に力を入れる。インバウンド施策では春節に向けて台湾出身のインフルエンサーを起用したプロモーションを実施。市場調査やテストマーケティングに基づく海外展開も推し進める。

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