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交通広告市場は各社が競争しつつも、メジャメントの標準化に向けた共創も必要に

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広告市場においてはインターネット広告が今も成長を続けている。その一方で、近年はマスメディア企業やアナログメディア企業のDXの強化、それに伴う新たな広告商品の開発が進んでいる。交通広告市場のDXはどのように進んでいるのか。東京メトロの広告媒体を扱うメトロアドエージェンシーに戦略を聞いた。

※本記事は月刊『宣伝会議』2024年3月号に掲載の「メディア企業に聞く広告営業戦略」記事を転載したものです。
 

車内広告は苦戦するも駅構内ビジョンは好調に推移

メトロアドエージェンシーは、東京メトログループの総合広告会社・媒体社として、2007年2月に営業を開始。現在は東京メトロの交通メディアを扱う媒体社としての側面に加え、クライアントにソリューションを提供する広告会社、さらには東京メトログループの力を活用するプロデュース会社としての役割を担う。

主力の広告メディア事業は当然、東京メトロ内の広告になるが、交通広告を取り巻く状況について同社・媒体本部媒体販売局長の森田英行氏は「交通広告の出稿はコロナ禍が明けた今もまだ、回復しきっていない。現状では2019年比で7割程度の売上にとどまっている。電車の乗降人員は8~9割程度に回復していることから、売上回復の余地は十分にあると考えている」と述べる。

さらに森田氏は「改めて、東京メトロならではの交通広告枠の独自性を訴えていきたい。関東エリアの車内広告では、私たちが提供する広告枠はJRに次ぐ規模を誇る。ただ1位との間にギャップもあるので、そのギャップをどう埋めるか?チャレンジャー企業としての立ち位置や提案を明確にしていきたい」と続ける。

交通広告をはじめとするOOH市場の中で選ばれるためには他社との「競争」が必要。一方で、広くOOH業界に目を向けると、そこでは「共創」も求められていると、森田氏は考えているという。「日本のOOH市場はメジャメントやテクノロジーなどの面で、グローバルの水準から見た際に遅れがある。個々のメディアオーナーが独自性を持って仕事をする環境にあったことに要因があるが、今後は“共創”の取り組みが必要とされている」(森田氏)。

メトロアドエージェンシーは首都圏において交通広告を販売・管理する鉄道事業社ならびにハウスエージェンシー11社・局で構成される「交通広告メジャメント標準化検討会」に参加している。森田氏はこうした活動に加えて「どれだけ屋外系のメディアオーナーにも、参画してもらえるかが大事だと考えている」と話す。

こうした共創の取り組みをしつつ、媒体社としては競争力のある新商品の開発も必須だ。現状、車内広告では苦戦が見られるものの、例えば2023年3月より販売を開始した「渋谷55ストリートビジョン」など駅構内の枠は好調に推移しているという。森田氏は「車内ビジョンの戻りがまだ遅いので、交通広告が持つ意義に立ち返り、より利用してもらえるような提案をしていきたい」と話した。

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メトロアドエージェンシー
媒体本部
媒体販売局長
森田英行氏

小田急エージェンシーを経て、2016年メトロアドエージェンシーに入社。営業部門では、流通・不動産・ホテル・観光業などのAEを担当。交通メディア部門では、販売管理システムの開発、関東交通広告協議会「共通指標PJ」の立ち上げ、マルチメディア放送事業への参画、宣伝会議との「O2Oマーケティング研究会」「ArtTrainProject」などに取り組むかたわら、日本マーケティング学会「鉄道沿線マーケティング研究会」のメンバーとして活動。現在は、30年以上前から関わっている交通メディアのさらなる成長に向けて、日々奮闘中。