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子どもが求めるのは「相棒感」 トヨタがポケモンを元にモビリティ試作

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トヨタ自動車グループ有志で構成されるトヨタ技術会は3月14日、人気ゲーム「ポケットモンスター」に登場する「ミライドン」をモチーフにした乗り物「トヨタミライドン」をメディア向けに披露した。一般向けには15日から17日の3日間、商業施設「東京ミッドタウン日比谷」(東京・千代田)で公開する。

トヨタミライドン
正式な製品名は、TOYOTA Engineering Society MIRAIDON。ポケモン「ミライドン」を制作したのではなく、あくまでモチーフという(©Pokémon. ©Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.)
豊田市の子どもが描いた「ミライドン」
制作のきっかけとなった「ミライドン」の絵。「トヨタミライドン」も、バイクのよう「ドライブモード」に変形。「東京ミッドタウン日比谷」では「トヨタミライドン」にまたがることもできる

今回のプロジェクトとは別に、「ミライモビリティ(未来の乗り物)」をテーマに、豊田市の小学校100校以上から集めた8000点の「絵」がきっかけとなった。「ミライドン」を描いた子どもが複数いたという。原作では、序盤から主人公の仲間になり、冒険を共にする。移動時に「ミライドン」に乗ることも可能で、ストーリーが進むに連れて成長し、移動できるエリアが増えていく。

「生き物感、相棒としての存在、変形など、いまの子どもが乗りたいものはどんなものなのか、乗り物に何を求めているか、ということがわかった。直ちに製品に生かすという予定はないものの、メーカーの既成概念にない、フラットな発想、コンセプトはメンバーそれぞれに得るものがあったと思う」(技術会メンバー)

制作に移すため、トヨタ技術会からポケモン社に打診。実際のゲームなど、手に入る資料のみで3Dモデルを作成し、打ち合わせに臨んだという。「実際の制作にあたっては一定の資料をご提供したが、最初に拝見した時点で、かなり高い完成度だったのに驚いた」とポケモン社の担当者は話す。

造形は実際の「ミライドン」のイメージ、ポケモンらしさを損なわないようポケモン社からの監修を受けながら、「あくまで実際に乗って動けるものであることにこだわった。通常、筐体に当たるものは駆動系や動力のスペースなども踏まえてのデザインとなるが、今回は先に守るべきデザインがあり、それに収まるように機構部分を設計したのがチャレンジだった」という。

「トヨタミライドン」を披露した、トヨタ技術会専任メンバー。トヨタ技術会には約2万4000人が参加しており、社員の3〜4人に1人は技術会、という計算となる

トヨタ技術会は1947年設立で、主要メンバーや設計や生産・製造など、技術畑の社員有志で構成する。通称は「ト技会」。1年任期で専任メンバーを20人ほど選出する。業務の傍らサポートに当たる「実行委員」も100人ほどおり、技術系だけでなく、幅広い社員が参加している。

トヨタ技術会は、2017年、AI(人工知能)技術を活用しフリースローを決められる人型ロボット「CUE(キュー)」を開発するなど、専任メンバーにとっては、「本業だとなかなかやれないことを試す場」。「CUE」はその後、さらに開発が進み、2021年の東京五輪でパフォーマンスを披露するなど、「CUE6」まで開発が進んでいる。

トヨタミライドンプロジェクト「TOYOTA Engineering Societye MIRAIDON」参画企業は、トヨタ技術会、ポケモンのほか、大日本塗料、ロックペイント、山一ハガネ。「トヨタミライドン」自体は、「まだ何も決まっていることはない」という。原作で対となる存在の「コライドン」の制作予定もない。

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