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王子HDの150周年事業 グループを巻き込んだ植樹&従業員集合写真リレー

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社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年を、企業はどのように迎えるのか。1873年創業した王子ホールディングスの150周年企画を紹介する。
※本記事では月刊『広報会議』2024年5月号(4月1日発売)に掲載した連載企画「周年イヤーの迎え方」を転載しています。

王子ホールディングス
1873年創業

渋沢栄一の提唱により1873年に「抄紙会社」として設立。1893年に「王子製紙」と改称し、分割・合併を経て王子ホールディングスとなる。段ボール、ティシュ、印刷用紙などの製造販売に加え、近年は木質由来の医薬品やセルロースナノファイバーなどの新素材開発にも注力している。従業員は3万7845人(連結・2023年3月末現在)。

社内外へのパーパス浸透を重視

洋紙の国産化と自給体制を実現し、日本の産業の発展を支えてきた王子ホールディングスが、2023年2月に創業150周年を迎えた。

ロゴ 王子ホールディングス
森を育て、森林資源を活かす循環と、150年の伝統と新しい未来へと挑戦しつづけていく様子を、森から続き森へ帰っていく道で表現した記念ロゴ。木の葉は変化・進化し続けていく社員一人ひとりの力を表す。

「150周年を迎えられたことへの感謝とともに、2022年に制定したパーパスを社内外に浸透させるためのコミュニケーションを意識しました」と広報IR部の平木場祐香氏。

150周年記念サイトは創業記念日にあたる2月12日に公開。トップ画像には、「森を育て、森を活かす」という、同社のパーパスに込めた思いをイメージできるよう社有林の写真を活用し、1年かけてコンテンツを追加している。150年の歴史を紹介する記念動画はCGの先進技術を取り入れたドキュメンタリー調にした。

社有林の写真を使った記念サイトのトップページ
社有林の写真を使った記念サイトのトップページ。

「面白さや斬新さはもちろんですが、歴史の情報に間違いがないよう社史を辞書がわりに引きながら、未来への思いも込めて制作しました」と同じく広報IR部の淺野友純氏は話す。

現場の一人ひとりに光を当てる

また、インターナル施策として力を入れたのが記念誌の配信と、植樹&従業員集合写真リレーだ。記念誌は、2~3カ月に1度のペースで日本語版と英語版のウェブブック形式で全5回配信した。

「“これまでの150年”と“次の150年”を2本柱に、当社の現場を長年支えてきたベテランを『王子の匠』として紹介したり、最新事業であるグリーンイノベーションの第一線で活躍する社員を取り上げたりと、より多くの社員に光を当てることを意識しました」(淺野氏)。

写真 誌面
写真 誌面

一人ひとりに光を当てることを意識したという記念誌の誌面には、多くの社員が登場している。

取材した社員からは「王子人生の集大成になった」「150周年という特別な時に取り上げてくれてありがとう」といった感謝の声が届いたほか、社内でもポジティブな感想が多かったという。5回分の配信記事をまとめた冊子も制作し、グループ各社に保存用として配布している。

「ベテランから若手まで、色々な課題や時代の変化の中で、王子ホールディングスという会社を通じて、社会にどう貢献できるかを日々考え続ける社員の話に胸を熱くし、この熱量を伝えなければと使命感にかられた日々でした」(淺野氏)。

社内施策に15カ国115社が参加

植樹&従業員集合写真リレーは、「世界各国での植樹」と「主要会社ごとの記念誌へのメッセージ投稿」という2つの企画を統合したもの。連結子会社を含むグループ全体に任意参加を呼びかけると、15カ国115社が手を挙げた。リレーの模様は記念サイトや記念誌にも掲載され、特に記念誌のページは社内で多くの閲覧があったという。

写真 人物 集合 国内外で実施された植樹&従業員集合写真
写真 人物 集合

国内外で実施された植樹&従業員集合写真。リレーの写真やメッセージは記念誌でも紹介された。

「これまでグループ全社を巻き込んだ取り組みはあまり経験がありませんでしたが、各社から届いた写真とパーパス実現に向けたメッセージを通じて、世界中にこんな仲間たちがいることを知ってもらう意味でも、実りある企画になったのではないかと感じました」(平木場氏)。

さまざまな施策を通じて得たコミュニケーションの知見を、次の150年に向けた社内ブランディングに活かしていきたいと語る2人。

「周年事業を経験したことで、より従業員の喜びや楽しみ、モチベーションアップにつながる広報施策について考えるようになりました。海外も含めた各地の現場に目を向け、社員一人ひとりに光をあてる施策は今後もやっていきたいと考えています」(淺野氏)。

「どうしても企業は数字で判断されがちですが、会社の成り立ちの裏側には必ず人がいるということを再認識しました。情報や思いを一人ひとりに届けることはもちろん、今後は私たちからの発信に対して気軽に意見をもらえるような、双方向のコミュニケーションをつくっていけたらと思います」(平木場氏)。

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