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日本企業の経営課題2023、「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」の重要度高まる

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日本能率協会は4月10日、「当面する企業経営課題に関する調査」の2023年版の結果を発表した。

企業が当面する経営課題は「現在」「3年後」「5年後」のすべてで「人材の強化」が最多となり、「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」の重要性も3年連続高まっている。人手不足やコロナ禍による採用控え、技術革新により社会で必要な能力・スキルが急激に変化しているといった背景が、経営課題に影響していると考えられている。

調査は、企業経営者を対象に「経営課題を明らかにし、これからの経営指針となるテーマや施策の方向性を探ること」を目的に、1979年から実施。今回の調査は、2023年11~12月の期間中に行い、528社からの回答を得た。

「現在」「3年後」「5年後」のすべてで「人材の強化」が最多

自社が当面する経営課題を20の項目から選択してもらう質問を実施。「現在」「3年後」は上位3つまで、「5年後」は1つ選択できる形とした。

「現在」における経営課題のトップ3は、上から「人材の強化」(48.9%)、「収益性向上」(44.9%)、「売り上げ・シェア拡大」(32.0%)となった。過去3年間の推移を見ると、第1位から第3位までの項目に変わりはないが、「人材の強化」が昨年から7.8ポイント増加したことで、第2位だった昨年から第1位に上昇した。

約半数の企業が「現在」の最重要課題として「人材の強化」を挙げた。また、「3年後」でも約半数の企業が、「5年後」でも約15%の企業が最重視課題と位置付けた。

過去3年間の推移でも「人材の強化」が1年ごとに約5ポイントずつ増加しており、重要性が急激に高まっていることも見てとれる。多くの企業が、直近だけでなく、長きにわたる課題になると捉えていることが分かった。

グラフ その他 「現在」「3年後」「5年後」の経営課題
「現在」「3年後」「5年後」の経営課題。回答上位の項目から順に羅列されている。

「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」の重要性高まる

「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」は「現在」の経営課題のうち第5位だったが、昨年と比べ2.3ポイント割合が増え3年連続で増加している。人材への重要度が高まってきていることがうかがえる。

昨年との変化では、第6位の「株主価値向上」も3.0ポイント増えた。取り組みの有無が投資家の関心や企業の評価に直接的・間接的につながる中で、優先的に着手すべき課題であるという認識が経営層で高まっていることが考えられるという。

グラフ その他 「現在」の課題(上位項目)の過去3年間の推移
「現在」の課題(上位項目)の過去3年間の推移。「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」が3年連続で上昇している。

人材確保の難易度の上昇が背景に

日本能率協会は、今回「人材の強化」への重要性が高まった要因として、労働力人口の減少や雇用の流動化により、人材確保の難易度が高まっていると考察する。「現在」の課題として、「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」が昨年より増加していることもその表れと言えるだろう。

また、コロナ禍での採用抑制や育成機会の減少も影響しているという。事業活動を継続し、新しい価値や事業を創造していくための人材の不足に直面している企業が多いことが、浮き彫りとなった。

このほか、生成AIの登場をはじめとしたテクノロジーの進化により、社会で必要とされる能力・スキルが急激に変化してきていることも影響しているという。リスキリングの重要性が叫ばれて久しいが、その必要性は今後も高まっていくことがうかがえる。

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