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コンビニとの融合で復活する町の本屋 集客や収益の課題を改善、日本出版販売

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「無書店地域」の課題解決に貢献

日本各地で書店が減少する中、日本出版販売は書店とコンビニの連携を進めている。2021年からローソンと提携して、「LAWSONマチの本屋さん」をスタート。4月26日には11店舗目となる「ローソン立山町役場店」(富山県)をオープンする。書店にコンビニとしての機能が加わることで、集客や収益面の課題を改善。コンビニ側のメリットも大きく、同業態の店舗は、通常のコンビニと比較して20倍程度の売り上げ実績を誇るという。

写真 店舗・商業施設
「LAWSONマチの本屋さん」(店舗外観イメージ)

市場縮小による店頭売り上げ減少、書店に粗利が残りづらい取引構造、店舗の運営コスト増加などの要因で、書店の経営悪化や廃業が進んでいる。書店が1店舗も存在しない「無書店地域」も増加しており、出版文化産業振興財団の調査(2022年9月)によると、書店ゼロの市区町村は全国で26.2%にのぼる。

同社は街に書店のある風景を守るため、社会のインフラであるコンビニに着目。地域課題に関心があるローソンとのコラボ業態が実現した。店頭で本を販売するだけでなく、書店と同じように注文や取り寄せも可能。コンビニの利便性と書店機能を組み合わせることで、顧客の来店動機を増やしている。

同業態では、普段は書店に訪れない人も、コンビニを目的に来店するため、本と人の接点拡大に結び付いている。運営コストも改善され、コンビニと書店のマルチタスクで人員を振り分けているため、人件費の効率化につながっているという。書店とコンビニの両方で売り上げが発生することから収益面のメリットも大きいという。

書店とコンビニの併設によって、顧客の利便性が高まる一方、限られた店舗スペースで品ぞろえの限界もある。注文や取り寄せなど、同社の在庫を活用することでカバー。売り場がコンパクトなため、年配客からは「色々動かなくて便利」といった声も寄せられている。

同社の広報担当者は「本事業はコンビニと書店、どちらかが欠けても成り立たない」と話し、コンビニと書店の両方の需要が見込める出店場所を、両社がすり合わせて決めているという。

写真 店舗・商業施設
「LAWSONマチの本屋さん」の売り場イメージ。写真は「ローソン向ヶ丘遊園南店」

新店舗は立山町役場内での出店で、行政と連携した店舗は同業態としては初。同社によると、同町も無書店地域で、自治体が地域住民のために書店の開業公募をしていたが、出店はなかなか決まらなかったという。スーパーの閉店で買い物が困難になったことも踏まえ、「LAWSONマチの本屋さん」の出店が決まった。

今回の店舗では地域住民の交流を目的としたコミュニティスペースも設置。同様の課題を抱える自治体は多いとみており、広報担当者は「ローソンとの連携で、ほかの自治体に良い影響を与えられる店舗を目指す」としている。

同社は「地域に根差す書店の存在は、暮らしを豊かにする大切な場所だ」としており、今回の取り組みを始め、人と本のタッチポイントを拡大していく考えを示した。

「立山町役場店」の売り場面積は約230平方メートルで、うち書店部分は約59平方メートル。通常のコンビニ商品に加え、本は雑誌、コミック、絵本、ビジネス書、新書など約4000タイトルをラインナップしている。

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