空飛ぶクルマの保険制度確立、損害保険ジャパン 2030年代に保険料収入150億目指す

海外再保険マーケットとの連携を推進

損害保険ジャパンはこのほど「空飛ぶクルマ事業者専用賠償責任保険」を発売した。空飛ぶクルマの実用化に向けた技術開発や法整備が進む中、自動車保険や航空保険の枠組みだけでは対応できない新しいリスクを想定した制度確立が喫緊の課題。同保険では製造や管理などに関わる賠償責任を補償する。現時点では保険設計に必要なリスク量データが不十分であるため、同社はパートナー企業との連携や空飛ぶクルマ関連プロジェクトへの参画などを推進。同保険を通じて空飛ぶクルマ産業の発展に寄与し、2030年代に年間保険料収入150億円を目指すという。

空飛ぶクルマの製造販売や管理における事故による損害賠償責任を補償

空飛ぶクルマは「eVTOL(electric Vertical Take-off and Landing)」(垂直離発着機)と呼ばれ、航空機に分類される。垂直離発着が可能で滑走路が不要なほか、電動化や操縦などの自動化が特長。地上交通インフラの影響を受けない強みから、渋滞の削減や効率的な災害対応などに寄与すると言われている。ヘリコプターに比べて電動化による製造コスト・運用コストの低減が期待でき、今後の世界的普及が期待されている。

一方、空飛ぶクルマの社会実装と普及には多くの課題がある。機体の運行リスクだけでなく、機体製造やポート管理に関わる賠償責任など事業者が抱えるリスクは多岐にわたる。

そこで同社は、空飛ぶクルマ事業者の賠償リスクを包括的にカバーする「空飛ぶクルマ事業者専用賠償責任保険」を開発。機体や部品などの製造・加工・整備・販売に関わる製造物責任や、離発着するバーティポートの管理運営に関わる賠償責任などを包括的に補償する。例えば、被保険者が製造・販売などを行った製品や仕事の結果に起因して発生した事故における損害賠償の被害を補償。バーティポート敷地内外の施設の使用・管理のほか、各種業務遂行に起因して発生した事故などでも補償する。

格納庫やタイダウンスペース(機体固定スポット)で保管や整備などをするために受託した他人の機体が損壊した場合も対象。身体や財物に関する損害賠償と、訴訟や和解のために支出する争訟費用を補償する。

本商品固有の海外の再保険会社との連携により、高額な保険契約のリスクを分散するために国内外の再保険会社と結ぶ「再保険」スキームを新たに構築することで、参入事業者を安定的かつ長期的にサポートできる保険制度となっている。

同社は2018年に経済産業省と国土交通省によって設立された「空の移動革命に向けた官民協議会」への参画に参画し、官民連携で社会実装を目指している。2022年にはスタートアップ「SkyDrive」に出資するなどパートナー企業との連携も深めている。2025年の関西万博に向け丸紅が実施する実証実験にも協力する。

新しい分野での制度確立について、広報担当者は「保険実績のない分野であるため、保険設計に必要なリスク量データの不十分な創成期において、安定した保険制度の確立が課題」としている。国内メーカーとの提携によるリスク量データの収集のほか、実証実験の参画や先行する海外再保険マーケットとの連携が欠かせないとしている。

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