メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

リチウムイオンバッテリーを軸とした新ブランド 100億円規模の売上目指す、山善

share

省エネや環境対策、防災需要に応える

生産設備から家庭機器まで手掛ける山善は5月15日、リチウムイオンバッテリーに対応した家電などを展開する新ブランド「ELEIN(エレイン)」を発表した。発表されたラインナップは、主軸となるリチウムイオンバッテリーのほか、家電やポータブル電源など16商品。家電は扇風機やコンパクトクーラーなどを用意しており、リチウムイオンバッテリーを使用することで、住宅内だけでなく屋外でも稼働できる。同社は太陽光発電で生産した電気の活用方法を提供することで、省エネや環境対策ニーズに応じるほか、高まる防災需要にも対応する考え。初年度の売上5億円、2026年度の売上20億円を目標に掲げ、将来的には100億円規模を目指す。6月上旬以降順次発売予定。

写真 人物 集合 村上幸助 中山尚律
5月15日の発表会で登壇した家庭機器事業部の村上氏(左)と、中山尚律部長。「ELEIN」は「ELECTRIC」と「IN」を掛け合わせた造語

開発の背景として、燃料費や物価高騰による省エネ意識の高まりがある。5月には大手電力各社が電気料金を値上げし、節約志向が強まった。また、脱炭素社会の実現を目指す社会機運も省エネ意識を高めており、東京都では新築への太陽光パネルの設置を義務化する「改正環境確保条例」が2025年度から施行予定。太陽光発電の売電価格が下がっていることもあり、生み出した電気を自家消費するケースも増えている。

同社は節約と再生可能エネルギーの有効活用に貢献できる新コンセプトを約2年前から企画し、リチウムイオンバッテリーを主軸とした「ELEIN」が誕生した。同ブランドの商品に共通で使えるリチウムイオンバッテリー「YBD-5A」は、別売りの急速充電器を使うことで、約2時間でフル充電可能。Type-C接続も対応しており、モバイルバッテリーとしても利用できる。

バッテリー対応家電としてコンパクトクーラー、扇風機、工場扇をラインナップ。バッテリーを利用することでコードレス化でき、場所を選ばずに稼働できる。バッテリー対応家電は仕事現場に持ち込んで利用するケースが多いが、「ELEIN」は一般家庭への訴求に力を入れる方針。今夏から保冷温庫も発売予定で、アウトドアや災害時の利用を想定している。

家電のほか、ポータブル電源やソーラーパネルを用意。ポータブル電源はソーラーパネルと接続することで充電もできる。ポータブルタイプの小型ソーラーパネルも用意し、鞄などに取り付けて移動中に発電可能。一度に4つのリチウムイオンバッテリーを充電できる「充電ステーション」も発売する予定だ。

リチウムイオンバッテリーをスターターとして、家電やソーラーパネルなどの商品の販売につなげる戦略。バッテリーを使いまわせることが、「ELEIN」の新商品を購入する動機となり、顧客の継続的なブランド利用につながるとみている。

写真 商品・製品 「ELEIN」シリーズのバッテリー対応家電
「ELEIN」シリーズのバッテリー対応家電。ロゴや商品のデザインには「アザーブルー」の色が使用されており、優しいイメージを持たせたという

一方、リチウムイオン電池は出火による火災を懸念する人もいる。東京消防庁によると、リチウムイオン電池関連の火災は2022年に150件発生し、過去最多となった。リチウムイオンバッテリーをメインとした同ブランドの訴求には「信頼性」が欠かせないとし、村上氏は「実績を示して信頼を獲得したい」と話す。同社は工場を持たないファブレス企業だが、商品企画や安全設計において、開発工場と綿密に連携するなど、安全確保に注力している。

家電からソーラーパネルまで様々なジャンルをそろえる「ELEIN」は、ブランド全体としては特定の層にターゲットを絞っておらず、商品ごとに需要を見極めて個別に訴求していく方針。デザインも各商品に関するヒアリング結果を反映させているという。販売チャネルは同社公式サイトやAmazonなどECサイトが中心で、反響次第で店頭販売も広げていく。家庭機器事業部の村上幸輔主幹は「リチウムイオンバッテリーを中心とした新しい世界観を展開していきたい」と意気込みを見せた。

省エネや環境負荷低減は世界中で需要があるとし、アジアやインドなど海外展開も視野に入れている。将来的には電力需要に対してインフラの供給が追い付いていないアフリカでの販売も検討している。商品ラインナップも徐々に拡充する予定で、家具や園芸など幅広い事業を展開する山善の強みを生かし、家電以外のジャンルでも「ELEIN」シリーズを展開したい考えを示した。9月以降にはテレビCMの公開も予定しており、村上氏は「初年度の売上5億を達成し、開発を加速させていきたい」と話した。

同社は1947年創業で、家庭機器事業は1978年に開始。現在は生活家電や家具、園芸用品など約4万点の家庭用品を扱っており、2023年度の売上シェアは家庭機器が全体の約20%を占める。コロナ禍の巣ごもり需要で2020年度以降は大きく伸長し4年連続で1000億円超えを達成した。

advertimes_endmark