「知られなければ選択肢にすら入らない」、あらゆる手段を使って南砺市をPRしていきたい 「自治体広報の仕事とキャリア」リレー連載(南砺市 岩倉竜矢さん)

広報、マーケティングなどコミュニケーションビジネスの世界には多様な「専門の仕事」があります。専門職としてのキャリアを積もうとした場合、自分なりのキャリアプランも必要とされます。現在、地方自治体のなかで広報職として活躍する人たちは、どのように自分のスキル形成について考えているでしょうか。本コラムではリレー形式で、「自治体広報の仕事とキャリア」をテーマにバトンをつないでいただきます。
福井県の嶋田拓実さんからバトンを受け取り、登場いただくの富山県南砺市役所交流観光まちづくり課の岩倉竜矢さんです。
写真 人物 個人 岩倉竜矢

富山県南砺市交流観光まちづくり課
交流観光係 兼 ブランドプロモーション推進室
主任 岩倉 竜矢氏

民間企業での経験を経て、2016年に南砺市役所入庁。上下水道課、税務課での業務を経験後、一般財団法人地域活性化センターへの派遣(2021年4月〜2023年3月)を経験。2023年4月より現職。現在は交流観光まちづくり課にて観光施策に携わり、首都圏での観光PR、旅行会社と連携したツアー商品の造成等を担当。

Q1:現在の仕事内容について教えてください。

まず、南砺市(なんとし、と読みます)について紹介させていただきます!

富山県南砺市は富山県南西部に位置し、石川県金沢市や岐阜県飛騨市・白川村と隣接しています。北陸唯一の世界遺産である「五箇山合掌造り集落」をはじめ、日本遺産に認定された「木彫刻のまち 井波」、ユネスコ無形文化遺産に登録され、300年以上続く「城端曳山祭」や「福野夜高祭」など、歴史と文化が色濃く残る地域です。私が所属する交流観光まちづくり課では、世界遺産をはじめとする市内観光資源のPRや、それらを活用した旅行商品(ツアー)の造成を主な事業として実施しています。

そのほか、持続可能な観光まちづくりを推進するため、市内の観光関連事業者と連携した受入体制の強化に関する事業を実施しています。観光客に南砺市に来ていただくことはもちろんですが、地域一丸となった受入体制の強化で質の高いおもてなしを提供し、観光を通じた関係人口の創出とまちづくりの実践に取り組んでいます。

写真 五箇山の紅葉
五箇山の紅葉。

Q2:貴組織における広報部門が管轄する仕事の領域について教えてください。

観光PR業務として、ホームページやSNSでの情報発信、旅行博等イベントへの出展、観光パンフレット制作等の業務を担っています。また、市単体での取り組みだけでなく、近隣の自治体と連携してイベントに出展したり、政府機関と連携して海外への情報発信を行ったりと、幅広い広報活動を行っています。

Q3:ご自身が大事にしている「自治体広報における実践の哲学」をお聞かせください。

哲学、というほどのことではありませんが「知らなければ選択肢にすら入らない」ということは常に念頭に置いて仕事をしています。観光PRでは「旅先に選んでいただく」ということがひとつの成果となります。この記事を読んでいただいている方もそうだと思いますが、旅先を決める際には、インターネットやSNS、雑誌等で見て印象深かった場所や、知人から聞いたおすすめの観光地等、既に自分の中にある情報の中から選ばれることが多いと思います。

つまり「旅行に行こう!」と思った時点で知らない場所は、旅先として選ばれる可能性が限りなく低い、と私は考えています。ですので、SNSやチラシ、リアルでのイベント等、あらゆる手段を使って、まずは「富山県南砺市」という場所や、そこにあるさまざまな観光スポットについて認知していただくことに注力しています。

また、現場に赴き、観光客目線で体験することも大切にしています。自分自身がよく知らないことは、PRしても上手く伝わらないと考えているからです。ですので、現在の部署に配属されてから、これまで行ったことのなかった市内の観光スポットやお祭りに行き、可能な限り現場の方とコミュニケーションをとるようにしています。そうすることで、旅行者目線で観光地を見ることができ、良いところを効果的にPRできていると思います。

Q4:自治体ならではの広報の苦労する点、逆に自治体広報ならではのやりがいや可能性についてお聞かせください。

苦労する点としては、観光誘客に関する広報では、具体的な効果が見えづらいことが挙げられます。現在、SNS広告やホームページ等WEBを活用したPR、首都圏・関西圏での観光イベントでのPRとさまざまな手法を用いて広報活動を行っていますが、事業を実施することで具体的にどのくらい観光客が増えているか、を図る指標がありません。

宿泊施設や市内の施設の利用者数で増加傾向・減少傾向を知ることはできますが、その事業による直接的な効果なのかを確認することは難しいです。また、PR活動の財源はもちろん税金で賄われますが、観光客が増えても一市民にとって直接的な恩恵はありません。

そういった意味で、観光関連事業者の方々が恩恵を受ける事業として捉えられがちになり、必要性の説明について苦労することがあります。ですので、実施する事業について「なぜやるのか?」「誰のためにやるのか?」「その事業でどのような社会的効果が期待できるのか?」をしっかりと考え、明確にすることで、本当に必要なPR事業を厳選して実施することに努めています。

可能性としては、観光PRがこれからの地方創生の一翼を担う可能性があることだと思います。個人的な考えですが、出生数が減少し続ける中での移住施策は、限界があると感じています。観光をきっかけとして南砺市を訪れていただき、地域で消費活動(食事や宿泊等)をしてもらうことで、地域の経済が潤います。来訪をきっかけにファンになっていただくことができれば、再来訪やふるさと納税により、より地域経済が活性化する可能性があります。南砺市は現在も消滅可能性都市として名前が挙がっていますが、観光PRによって、地域経済の好循環を生み、持続可能な地域づくりを目指したいです。

【次回のコラムの担当は?】

大阪府羽曳野市都市魅力部魅力づくり推進課 課長の辻村真輝さんです。

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