均質化の壁を越える 顧客接点の「再設計」と「クラフト」の融合

生成AIの普及はクリエイティブ量産を可能にしたが、部分最適な施策の乱立によりブランドの「同質化・均質化」という危機を招いている。博報堂プロダクツの茂呂譲治氏と高泉宗謙氏は、この課題に対して俯瞰する「顧客接点の再設計」と、AI専門職の眼による「クラフトにこだわった施策の実装」を両輪とする、AI時代の新たな勝ち筋を提示した。

AI専門職「ジェネレーター」が最高品質を見極める

デジタル環境の劇的な変化に伴い、Web動画やSNS、EC、店舗、コールセンターなど、企業と生活者を結ぶ顧客接点は爆発的に拡大している。博報堂プロダクツの茂呂氏は「選択肢が増えた反面、ブランドとしての一貫性を保ちながら全体を管理することは極めて困難になった」と、現在のマーケティングが直面する複雑化の課題を指摘する。

さらに、生成AIの登場によって誰もが早く、安く、大量に制作できる時代が到来するなか、高泉氏は「目の前のKPI達成だけを追い求めて部分最適な量産を続ければ、どのブランドも似たような表現に陥ってしまう」と警鐘を鳴らす。結果として、ブランド固有の「らしさ」や手触り感が失われるトレードオフが生じているのが現状だ。

この「均質化の壁」を打破するため、2025年10月に博報堂プロダクツはクリエイティブ集団「AI Craft Studio」を設立した。

同スタジオが提示するのが、顧客接点を俯瞰して横軸でつなぐ「接点の再設計(HUMAN WITH AI)」と、個々の接点における縦軸の表現を高める「クラフト実装(AI WITH HUMAN)」の両立である。

具体的には「診断」「理想のジャーニー策定」「実装」「検証」「次の手」という5つのステップを循環。蓄積された知見をもとにAIが導き出す業種ごとの共通課題と、個別ブランドが抱える固有の課題を丁寧に掛け合わせることで、これまで「点」として散らばっていた施策を「線」へと統合し、具体的な実行戦略を立てる。

そして、この戦略をクリエイティブへ落とし込む鍵となるのがAI専門職「ジェネレーター」の存在である。「ジェネレーター」は、ディレクターやフォトグラファーなど各領域で長年腕を磨いてきたプロ集団。高泉氏は「AIが出力した無数の候補から、ブランドに刺さる最適な一案を見抜く技術へ、クラフトの定義がシフトしている」と、AI時代におけるクリエイターの役割の変化を分析する。

例えば、自動車メーカーの動画事例では、自動車領域に精通したプロデューサーがジェネレーターとして参画し、車体の整合性やサスペンションの自然な挙動など業界特有の専門知見を反映。人材会社のポスター案件ではAIで600枚以上の画像を生成し、プロのカメラマンやレタッチャーの眼で選び抜くことで品質懸念を払拭した。

こうした体制のもとで目指すべき展望について、高泉氏は「AIがなかったとしても、しっかりとしたモノをつくることができる存在が、今後も必要になってくる」と、ツールの利便性に溺れず最終品質を見極める人間の役割を改めて提示。最後に茂呂氏が、「AI時代のブランドらしさと成長。この両輪がまわり続ける世界を、ぜひこのチームで支援していきたい」と語った。

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茂呂譲治氏

博報堂プロダクツ
取締役常務執行役員
兼 AI Craft Studio部長
兼 博報堂 CXアクティベーション局長

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高泉宗謙氏

博報堂プロダクツ
AI Craft Studio
上級ジェネレーター

お問い合わせ

株式会社博報堂

URL:https://www.hakuhodo.co.jp/

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