指定席チケットは即日完売 33%が海外からの来場者
日本初の国際レーシングコースとして1962年に誕生した鈴鹿サーキット。その運営とF1日本グランプリのプロモーターを担うホンダモビリティランドの上甲哲洋氏は、F1を「グローバル規模で顧客やステークホルダーと接点を創出できる強固なビジネスプラットフォーム」として再定義する。
上甲氏はまず、F1が持つメディア価値をデータで示した。1レースあたりのグローバル視聴者数は8000万人を超え、NBAファイナルやヨーロッパチャンピオンズリーグ決勝といった世界的なメジャースポーツの数値を大きく上回っている。この広範なリーチの背景には、F1の商業権を保有する米・リバティメディアによる買収以降、レースの裏側の人間ドラマを描いたNetflixのドキュメンタリー『Formula1:栄光のグランプリ』(2019年配信)や、ブラッド・ピット主演の映画『F1』(2025年公開)といった緻密なメディア戦略がある。これにより、これまでモータースポーツに馴染みの薄かった20代の若年層や女性ファンが急増し、アイドルのコンサートさながらに「推し活」としてサーキットへ足を運ぶ層が増えているという。
直近、2026年3月末に開催された2026 F1日本グランプリでは、3日間で31万5000人を動員し、指定席チケットが即日完売するほどの熱狂を生み出した。さらに、全体の33%を海外からの来場者が占めるなど、インバウンドマーケティングの観点からも魅力的なフィールドへと変貌を遂げているという。
世界のトップ企業がF1に巨額の投資を続ける理由
またセッションの後半では、単なる「等価交換の看板露出」にとどまらない、F1ならではのアクティベーション手法を共有した。
その象徴的な事例が、ソフトバンクとエリクソンによる5G技術を用いた通信環境のサポートだ。1日に13万人以上が集まり、手元での中継動画視聴のニーズも高い過酷なリアル現場において、強固な通信インフラを安定提供。その高い技術力を現地に誘致したメディアを通じて発信することで、BtoBブランドの信頼性を構築した。
また、アメリカン・エキスプレス(AMEX)は会員限定のチケット先行販売や会場内でのキャッシュバックといった体験価値を提供することで新規入会やアップセルを促進し、ユーザーのエンゲージメントを強化している。
さらに、3日間で1人110万円というホスピタリティエリア「パドッククラブ」も紹介。国内外のIT企業やナショナルクライアントのトップが一堂に会するこの空間は、最高峰の密な商談やインナーエンゲージメントを高めるビジネス交流の場として機能していると語る。
上甲氏は、世界のトップ企業がF1に巨額の投資を続ける理由がここにあると言及。「看板を露出するだけでなく、こんなことができないかという要望をぶつけてほしい」と、日本企業に向けて共創を呼び掛けた。
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