縮小市場で売上2倍超を果たす 「黒ラベル」の心を揺さぶる感動体験設計とは

AIによって情報や選択肢が自ずと提示される現代、ブランドが選ばれ続けるには単なる体験を超えた「感動体験」が不可欠となる。6月17日に開催された「宣伝会議サミット2026」では、大広の倉田潤氏とサッポロビールの黒柳真莉子氏が登壇。縮小傾向のビール市場において約10年で缶の売上が2倍超という異例の成長を遂げた「サッポロ生ビール黒ラベル」の体験設計を紐解いた。

情報を削ぎ落とし「一口目のうまさ」に焦点を絞る

若年層のビール離れや市場全体の縮小傾向が続くビール業界において、「サッポロ生ビール黒ラベル」は2014年対比で2025年には缶の売上が2.2倍という成長を遂げている。本セッションではこの躍進を支える取り組みについて、2009年から同ブランドに伴走する大広の倉田潤氏と、2024年よりブランドマネージャーを務めるサッポロビールの黒柳真莉子氏が解説した。

倉田氏は、「想起集合における一番上」に自社のブランドを位置づけるトリガーとして、感動体験を組み込む重要性を説く。ここでいう感動とは高揚感や驚きなどの動的な心の動きだけでなく、安心感や心地よさなどの静的な心の動きも含まれており、感動が生まれるブランド体験は「設計」が可能なものであるという。

「サッポロ生ビール黒ラベル」のマーケティングにおける根幹は、「大人の生」というタグラインに象徴される情緒的な世界観と、徹底的な味覚品質の両軸をバランスよく展開することにある。テレビCM「大人エレベーター」ではあえて答えを提示せず、「丸くなるな、星になれ」というメッセージの解釈も、生活者一人ひとりの感性に委ねてきた。黒柳氏はこのブランド姿勢をリアルな場へと落とし込むため、①解釈を押しつけない「余白」、➁要素を絞り込む「焦点」、➂人や場との繋がりを意識する「文脈」の3点を体験設計のポイントに据えていると説明する。

銀座に構えるスタンディングスタイルのビヤバー「THE BAR」では、「その日の一杯目に完璧な生ビールを」というコンセプトのもと、一日2杯までの提供というルールを適用。2025年7月のリニューアルでは、メニューブックに自然な形でブランドメッセージを織り交ぜ、オンラインショップのアイテムを展示するなど、顧客の動線上にブランドとの自然な接点をつくる「文脈」を意識したブラッシュアップを行っている。

写真 リニューアルしたサッポロ生ビール黒ラベル THE BAR

2025年7月、「サッポロ生ビール黒ラベル」のブランド体験拠点「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR」をリニューアル

また、全国13カ所を巡る移動型飲用体験イベント「THE PERFECT 黒ラベル WAGON」も進化を続けている。

「2026年の最新設計では、過度な演出はせず、暗がりの中でビールを注ぐ所作だけを照らし、注ぎたてをその場でまず一口飲んでいただきました。情報を徹底的に削ぎ落として『一口目のうまさ』に焦点を絞り込む設計になっています」と黒柳氏は説明。感情が高まった状態でビールを味わう「感動体験」を構築している。

倉田氏は、これらの取り組みを「生ビールは安定して美味しいが驚くほどの差はないという『これまでの当たり前』を、こだわりを持って選べる奥が深い嗜好品という『新しい当たり前』へアップデートさせた好例」と分析。黒柳氏は今後について「情報がパーソナライズされる時代だからこそ、想定を超えた偶発的な出会いから、ハッとする瞬間をいかにつくるかを重視していきたい」と展望を語った。

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黒柳真莉子氏

サッポロビール
マーケティング本部ビール
&RTD事業部
「サッポロ生ビール黒ラベル」
ブランドマネージャー

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倉田 潤氏

大広
ビジネス戦略本部アカウント戦略室
SD本部
ストラテジックプランニング局 付
部長

お問い合わせ

株式会社大広
ビジネス戦略本部 広報局 広報部

E-Mail:info@daiko.co.jp
TEL:03-4346-8111
URL:https://www.daiko.co.jp/

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