分断や同質化へのアンチテーゼ
ニッカウヰスキーのフラッグシップブランド「竹鶴ピュアモルト」。同社の創業者である竹鶴政孝の名を冠した、「余市モルト」と「宮城峡モルト」という対極の個性をかけ合わせたウイスキーだ。
そのブランディングプロジェクト「dear difference」がカンヌライオンズ2026 のインダストリークラフト部門にてゴールドとブロンズを、またデザイン部門にてシルバーを受賞した。日経新聞にてタブロイド広告を出稿したほか、2025 年12 月には期間限定・予約制のバー「The TAKETSURU experience」を出店。共通して、さまざまな表情や色味のドットをモチーフに世界観を構築している。
応募時に提出した資料。タブロイド広告のドットは、「余市」の海をイメージした深い青や、「宮城峡」をイメージした緑など、それぞれが「竹鶴ピュアモルト」を構成する要素を表しているという。
「dear difference」という名称の意図についてブランドマネージャーの織田大原希美さんは次のように語る。「ブランドの価値を改めて見つめ直したとき、その本質は『異なる個性を臆せず受け入れることで、かつてないものをこの世界に生み出していること』だと考えました。異質(difference)のもの同士が混ざることで、想像もできない美しさと驚きが生まれます。それは竹鶴政孝の生き方であり、竹鶴ピュアモルトのつくり方そのものです。同時に、分断や同質化への圧力が世界中で強まる今の時代へのアンチテーゼとしてもこの表現を位置付けています」。
ドットは全て手作業で描かれた。「効率や合理性を考えれば選ばない方法ですが、この手作業が、当社が大切にしてきたクラフトマンシップに通じるもの、という考え方から採用しました」と織田大原さん。
一方「The TAKETSURU experience」では、竹鶴政孝にゆかりのある物を展示し、「竹鶴」の世界観に没入できる空間に。ドットの表現をメニューやリーフレット、フードの盛り付け、器、コースター、キャンドルなどに忍ばせた。
