生成AIでは理解できなかった「ニオイ」の課題 花王リセッシュが渋谷に“2500円の焼肉店”を開く理由

花王の衣類・布用消臭剤ブランド「リセッシュ」は、東京都渋谷区に『焼肉リセッシュ亭』をオープンする。

同社は、鼻が慣れてしまい本人では気づきにくい衣類や布製品のニオイを「無自覚臭」と定義。焼肉を楽しんでいる最中は気にならないものの、帰宅後に衣服へ染み付いたニオイに気づく――といった身近な体験を実際に体感してもらうためのポップアップとして企画した。

8月10日に招待者限定のプレオープンを行い、8月11日から14日までの4日間限定で一般公開する。各日120分の完全入れ替え制とし、予約受付は8月5日より先着順で開始している。

AI活用の先に見えた「人間の嗅覚」という原点

本企画の立ち上げでは、まず新規事業のアイデア創出に生成AIの活用を試みた。

しかし検討を進める中で、「ニオイ」という人間の感覚を扱う難しさに直面したという。

花王ファブリックケア事業部でブランドマネージャーを務める多田佳祐氏は、「生成AIは、物事を数値的に捉え、情報を整理することには長けています。一方で、『ニオイ』は人によって感じ方が異なるため、一人ひとりの感覚や経験に寄り添った企画を生み出すことは容易ではありませんでした」と振り返る。

プロンプトを重ねるうちに見えてきたのは、AIに人間の嗅覚を理解させるには、人間にとって当たり前になっている知覚や経験を一つひとつ言語化する必要がある、という現実だった。

「その作業を突き詰めると、結局は、人間自身が嗅覚について考え、アイデアを出すこととほとんど変わらないという結論に至りました」(多田氏)。

そこで改めて向き合ったのが、人間ならではのリアルな嗅覚体験だ。そのなかで浮かび上がったのが、「みんなで焼肉をワイワイ楽しんだ後、服にニオイが残る」という、誰もが一度は経験したことのある場面だったという。

この身近な体験を軸に、「無自覚臭」を楽しく理解してもらう場として『焼肉リセッシュ亭』が形になった。

来店客は「無自覚臭リセット隊」に

来店客は「無自覚臭リセット隊」の候補生として、複数のミッションに挑戦する。

次のページ
1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事