老舗酒造会社の吉乃川(新潟・長岡)は9月、ブランドを刷新した。新たな理念とブランドメッセージを策定したほか、ロゴやシンボルマーク、商品体系、パッケージなどを見直した。新商品は9月11日に蔵出しし、15日頃から順次販売する。
「特別な酒」だけでなく、日常の食卓へ
同社は1548年創業。今回のリブランディングでは「変わらないために、変わる。」を掲げ、理念から商品、品質、デザイン、販売方法までを「吉乃川らしさ」という一つの軸でつなぎ直した。
背景にあるのは、日本酒を取り巻く環境の変化だ。食生活や酒類の選択肢が多様化し、飲用機会が減少する一方、日本酒では高品質化や高級化、希少化が進み、「特別な酒」としての価値が高まっている。
こうした中、吉乃川は特別な一杯を追求するだけでなく、日本酒を日常的に楽しむ人を増やすことも、地域で酒造りを続けてきた蔵の役割だと判断した。守る対象を特定の商品名や従来の姿ではなく、「吉乃川らしい酒を時代に合わせて届け続けること」と捉え、ブランド全体を見直した。
新たな企業理念は「お酒づくりを通じて、すべてのひとの豊かな毎日を醸しつづける。」。酒を飲む人に限らず、つくる人や届ける人、販売する人、地域住民など、吉乃川に関わる人々の暮らしを豊かにする姿勢を明文化した。
ブランドメッセージには「毎日を、こんこんと、やさしく。」を採用した。川の流れのように絶えることなく、日々の暮らしのそばにあり続けるブランドの姿勢を表している。
「髭文字」を刷新、「川」のシンボル新設
ブランドの視覚的な象徴も刷新した。長年使用してきた「髭文字」のロゴから、筆文字の特徴を受け継ぎつつ、やわらかさや親しみ、凛とした印象を持たせた新たなロゴへ変更。併せて、「川」をモチーフにしたシンボルマークを新設した。
新しいロゴとシンボルマークは、商品のパッケージだけでなく、Webサイトや広告、店舗、酒器などにも展開する。生活者との接点を横断してデザインを統一し、ブランドの世界観を伝えていく考えだ。ブランドデザインは、クリエイティブディレクターの徳田祐司氏(カナリア代表)が担当した。
左:旧ロゴ(髭文字)/右:新ロゴ
9月3日に開催された吉乃川リブランド発表会。左から、クリエイティブディレクター徳田祐司氏、吉乃川の峰政祐己社長、川上将司常務、杜氏の藤野正次氏、製造顧問の石渡英和氏氏が登壇した。


