米MSP社、ニコルスCEOに聞く
博報堂と10月下旬に業務提携した米マーケットシェアパートナーズ(MSP)社のウェス・ニコルス最高経営責任者(CEO)は、このほど来日し、宣伝会議のインタビューに応じた。MSP社はマーケティングの投資配分についてのコンサルティングを欧米などで提供しており、博報堂は同社のノウハウを用いて顧客支援を強化する。ニコルスCEOは、マーケティング手法が多様化する中で、投資配分のバランスを取ることの重要性を強調した(以下インタビュー)。
◇ ◇ ◇
マーケティングの投資効果を明らかにして欲しいとの広告主のニーズは高まる一方だ。当社は、マーケティングの投資配分の最適化や、ROI(投資収益率)向上のための支援を独自の手法で行い、成長を遂げている。ソフトウエア開発に多額の投資をしており、先進的なモデルを用いた予測分析を可能にした。広告会社でないからこそ、客観的な立場でアドバイスをすることができる。
我々は、CMO(最高マーケティング責任者)が戦略を練るための材料となる数値を提供することができる。すでに日本企業との取引もあるが、このほど博報堂というパートナーを得て、日本での展開を強化する。また我々自身も日本に拠点を置き、双方で顧客提案を行う。
米国企業のCMOの平均在任期間は18~19カ月間とも言われ、幹部ポストの中で最も短いクラスに入る。これは、CMOが自部署の成果を明確に示せないことに大きな要因がある。一方で、オンライン(インターネット)マーケティング責任者の在任期間は比較的長いと聞く。成果が数値化しやすいからだろう。
もっとも、オンラインマーケティングに傾倒すべきと言っているのではない。デジタル分野は明確に結果が出やすいが、テレビや新聞などのオフラインマーケティングは、一般に思われているよりもうまく機能しているものだ。マス広告で商品を知り、ネットで購入するケースもある。デジタル分野はテクノロジーの進化が著しいが、消費者の変化はそれに比べると緩やかであることにも注意しなければならない。
マーケティングには、価格や流通、ブランド向上策などのほか、オフライン・オンライン双方のマーケティングなど、投資配分のバランスが重要だ。コストを削減するほど良いとの考え方は間違っている。
今後のキーワードは「透明性」だ。企業のマーケティング担当者と広告会社、メディア・ソリューション会社の3者は、透明性のもとに互いにマーケティング効果を高めるための努力をしていかなければならない。中には透明性を望まない人もいるかもしれないが、そんな状況ではないと認識すべき。ビジネスパートナーとして、能動的な取り組みが求められている。(談)
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