広告主部門グランプリ作品インタビュー:ビームス40周年の歴史を5分で振り返る「TOKYO CULTURE STORY」
広告主部門グランプリ作品:BEAMS 「TOKYO CULTURE STORY」
齋藤:「TOKYO CULTURE STORY」はオンライン動画としてのクオリティ面でも企画面でも優れており、全会一致でグランプリに決定しました。実際に制作を進めるにあたって、設楽社長から「こういったものを作ってほしい」という細かな指示をなさったのですか?
設楽:BEAMSは創業時から若者の文化を変えよう・ハッピーなライフスタイルを提供しようと続けてきた会社です。具体的な指示を出したというよりも、「ハッピーでライフスタイルや文化を表すものにしてほしい」とお話したと思います。あとは、クリエイティブのメンバーが自由な解釈で動画を作り上げてくれました。
その他にも、「動画の中に登場するファッションは、実際に当時のものを集め、その上で服に合うモデルを探した」「店づくりの際にも指示は、『図書館の心地よさ』や『蚤の市の活気』と制作側が咀嚼する余地を残している」など、設楽社長より制作の裏話が披露された。
一般公募部門グランプリ作品インタビュー:“距離”をキーワードに企画した「太郎」
一般部門グランプリ作品:「太郎」
課題協賛企業:パイロットコーポレーション
齋藤: 今回、BOVAに応募したモチベーションを教えてください。
水本:普段からデジタル領域で仕事をしているので、BOVAは自由な表現でオンライン動画に挑戦できる機会として、昨年から応募をしています。
齋藤:制作面に関して、オンライン動画とCMのスキルの違いや注力するポイントの違いはありますか?
水本:一番意識していることは、見た人がどう感想を言ってくれる設計にするか、そのための“小ネタ”をいかにたくさん動画の中に組み込んでいくかです。作り手のこだわりや遊びを細かく仕掛けることができるのはデジタルの面白さだと思います。
世の中とブランドとの“距離感”をリアルタイムで感じながら仕掛けていくことができるのは、オンライン動画などWeb施策ならではです。
佐々木:デジタルはブランドとユーザーの距離を近くすると言われていますが、遠くから発信されるテレビと違い、距離感が近くユーザーにも参加の余地がある。そうした特徴を生かして共犯的な位置関係を構築できるかが、ヒットする企画のポイントになってきていますよね。
オンライン動画制作のポイントとして、発信側とユーザーの距離感が挙がり、少しずつ形成され始めたオンライン動画のセオリーを考える機会となった。
今回の審査を振り返って、オンライン動画というジャンルの形成と今後の展望
齋藤:BOVAは第1回から審査員を務めていますが、この4年でオンライン動画のあり方は、がらりと変わりました。テレビCMが弱くなったと言われることもありますが、ここにきてオンライン動画とテレビCMの役割が明確に分かれてきたと思います。
一般公募部門の応募作品に関しては、クオリティが高くなってきており、既に世に出ているオンライン動画と変わらないレベルになっています。また、企業側でもオンライン動画の中で、新しい挑戦をする事例が増えていると感じています。
佐々木:BOVAをスタートした当初は、企画意図がわかりづらい作品や、テレビCMの長尺版が応募されるケースもありました。近年は、オンライン動画用のコンテンツがつくられ、質も向上している。ただ一方で、型にはまってきた印象もあります。
齋藤:オンライン動画の特徴として、ある程度の尺とユーザーがつっこむ隙があるということが見え始めている。そうしたテレビとの違いをいかにうまく使うかが、今後重要になってくるでしょうね。
また、小林市のPR動画「ンダモシタン小林」など、その土地ならではの文脈を生かしたコンテンツが広がり始めている中で、世界の広告賞と国内の広告賞を分けて考える必要があると感じています。そうした国内の問題を解決する作品を評価する場として「BOVA」に期待していきたいですね。
佐々木:確かにオンラインは距離感が重要になるので、「届けたい人にしっかり届いた」という軸でも評価されていくべきですよね。
オンライン動画ならではの表現や課題解決の可能性が広がっていくことへの期待は膨らんでいる。第5回BOVAは、今年の10月に課題が発表される。オンライン動画の可能性をさらに広げ、審査員を驚かせるような新たな動画アイデアの応募に期待したい。
オンライン動画BOVAの詳細はこちら