AIでより深い顧客理解が実現 大広が提案する2つのソリューション

大広の石橋太朗氏と大広WEDOの鷲北雄介氏が9月27日に開かれた「アドタイデイズ2024(秋)東京」に登壇し、「『顧客の声』を生成AIでマーケティングに活かす手法」と題して講演した。
 
企業やブランドにとって重要な「顧客の声」をより効果的に活用する手段として、生成AIが有効なのではないかという視点を提示した。
写真 写真 アドタイデイズ2024(秋)東京の様子

大量の顧客の声を分類・分析することが生成AIにより可能に

石橋:「顧客の声」にもいろいろあります。コンタクトセンター、調査、SNSやファンコミュニティもあり、それぞれ活用の仕方でメリット、デメリットがあります。

写真 人物 個人 大広 石橋太朗氏

大広 執行役員 デジタルソリューション本部長 兼 CDO 石橋太朗氏

鷲北:例えば調査会社のモニターを利用した定量調査であれば、共通の設計により継続的に数値で把握できるので、変化に気づきやすいメリットがあります。デメリットは調査会社が謝礼を払うので、若干バイアスがかかること。また、あらかじめ用意した答えから選択するので、新たな気づきは得られにくいことがあります。

アンケートのように量を担保することと、深い洞察を得ることは相反するもの。定量と定性の差でもありますが、深い洞察を得るためには深い声が必要です。ただ、深い声を大量に集めるのは難しいですし、集めてもこれまでは単語ベースのワードクラウドのような浅い分析しかできませんでした。

それがChatGPTのような生成AIの登場によって、大量のテキストデータの分析が「ベクトルデータ化」という技術を背景に可能となりました。この技術を用いて当社で開発した「DDD-AI Tribe」も一つの手法です。

スクリーンショット イベントスライド DDD-AI Tribeとは

例えば、「顧客との対話」「Xのポスト」「botとの対話」など、大量のテキストデータを分析・分類するのが「DDD-AI Tribe」です。Xのポストもそのままではつぶやきの集積でしかありませんが、これをトライブにまとめて、どんな意味かを分析し、生成AIで説明することができます。これによって発信者の意図を分析することが可能になります。

トライブをいかにプロモーションに落とし込むのか

石橋:つくったトライブをどのようにプロモーションやコミュニケーションに落とし込んでいくのですか。

鷲北:まずは顧客の把握。量的な計測によって構成比も出すことができますので、SNSの中でボリュームの多いトライブ、少ないトライブを見分けることができます。

写真 人物 個人 大広WEDO 鷲北雄介氏

大広WEDO テクノロジーディビジョン開発チーム キャプテン 鷲北雄介氏

どんなトライブがどれくらいの人数いるかが分かるので、そこからターゲットを選別できます。ターゲット層の関心も見えてくるので、そこからメディア設計、クリエイティブ設計まで可能です。

石橋:XのキーワードからのポストをDDD-AI Tribeに入れると、トライブの作成からメディア設計、クリエイティブ設計までをワンパッケージでできるということですね。

鷲北:トライブを出すまでは数分でできます。これまで人が頑張っていたことをAIでできるので、次のPDCAを回すステップに注力できるメリットがあると考えています。

スクリーンショット イベントスライド DDD-AI Tribeの可能性

また、テキストデータをどこで集めるか、何からトライブをつくるかでやり方、できることは変わってきます。例えばレビューサイトの声を使うと購買者の分析、コンタクトセンターの声だと既存顧客の分析というように使うことができます。

顧客との対話を生み出す「Brand Dialogue AI」

石橋:SNSやレビューサイトなどに声のデータがない場合はどうしたらよいですか。

鷲北:その場合は「Brand Dialogue AI」という対話AIがあります。AIにブランドの人格や企業、商品の情報を取り込み、顧客データを学ばせることによって、ブランドらしさを持ったAIが顧客とワン・トゥ・ワンの対話をすることができます。すでにFABRIC TOKYOというオーダースーツブランドとPoC(概念実証)を実施しています。

スクリーンショット イベントスライド Brand Dialogue AIとは

FABRIC TOKYOでは有能なコーディネーターという設定で運用していますが、顧客から質問しなくてもAIから話しかけることも可能です。そのため、休眠顧客や特定の条件に合った顧客に話しかけて回答を聞き出し、F0からF1へ引き上げるという使い方もできると考えています。これによって、SNSに声がない場合も、対話によって顧客から声を引き出すことができます。

大広が目指すAIを活用した深い顧客理解

石橋:「DDD-AI Tribe」や「Brand Dialogue AI」など大広が提供するものも含めて、AIを活用したソリューションは今後も出てくると思います。そうしたものがある中で、企業のマーケティングはどうなっていくと思いますか。

鷲北:変わっていくと思います。ポイントとしては、先ほどの「Brand Dialogue AI」で集めたたくさんの声を「DDD-AI Tribe」でトライブ化して、次のコミュニケーションを生かすような連携が可能ですし、それができる仕組みになっています。このように世の中に存在する声を生かしやすい環境になっていくので、その深い声をどれだけ活かせるかがポイントになるでしょう。

スクリーンショット イベントスライド Brand Dialogue AIとDDD-AI Tribeの連携

これまでの顧客理解や顧客分析は行動データを掘り下げている状況が続いていて、今回お話しした対話データは宝の山だと言われながら、活用できていませんでした。それができるようになって、行動データとも掛け合わせることができるようになると、こういう行動をしている人がこういう発言をしているということが分かります。行動した事実、しなかった事実の裏にある本当の気持ちに寄り添えるようになるのではないかと思います。

これまでの行動データ分析の時代は、クリックすれば「興味がある」という判定はできますが、カートに入れたけど買わなかった人の「買わない理由」までは分かりませんでした。それを「Brand Dialogue AI」は直接聞くことができる。こうしたソリューションの活用によって、より顧客の深い理解ができるようになれば今とは違うレイヤーの顧客理解につながる、ステージが変わると考えています。

石橋:生成AIを使って僕らが取り組みたいのは今日のお話のような深い顧客理解です。生成AIをひとつの手段として、データを掛け合わせて顧客理解を深め、ロイヤル顧客をどう育てていくのかというプランニング、コミュニケーションの中身を考えることもできます。

今日はそこに貢献するソリューションを2つ紹介しましたが、これからも顧客の声を聞くことにはフォーカスして取り組みたいと考えています。まずはご相談いただき、実際に試していただきたいと思います。

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お問い合わせ

株式会社 大広
ソリューションデザイン統括局
戦略広報室

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TEL:03-4346-8111
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