2011年は、小売業の「どんなことがあっても売り続ける力」が改めて見直された年だった。また、それが地域を支える大きな力になり、日常の買い物を支えた店舗が消費者から信頼を得て、その後の売り上げにつながっていった。
また、スーパーやコンビニエンスストアがトラックを改装した移動式の店舗を買い物が不便な地域に走らせたり、地域商業施設の空きテナントに東急ハンズが期間限定の「トラックマーケット」を出店するなど、店にお客がくるのを待つのではなく、積極的に出ていく、ということが目立った。2012年も、こうした動きがさらに活発化するとともに、買い物不便地域への出店など、小さな商圏で売り上げを高める施策が求められる。
特にシニア層の人口比率は今後さらに向上するため「歩いて行ける近くで買い物を済ませたい」というニーズは高まる。小さな商圏にいる顧客を引き付け、買い物の頻度を高めるための効果的な施策が注目される。その施策の一つが、これまで単なるポイント提供だけにとどまっていることも多かった「ストア会員」の買い物データの分析と、それに基づいた併売、推奨施策の充実だろう。販促会議でも小商圏における販促手法については積極的に取り上げていきたい。
また、成長を続ける通信販売の市場にも注目したい。新聞、テレビなどを活用したシニア向け商品の伸びはもちろんだが、スマートフォンの普及に伴って、スマートフォン経由の通販の伸びが著しい。画面が大きく画像も美しいためフィーチャーフォンよりも多くの情報が得られ、かつちょっとしたすき間時間に購買できるというこれまでの便利さも持ち合わせている。一度スマートフォンで通販を経験した人のリピート率が高いことから、ネットのショッピングモールでは、PC経由の購入よりもポイント付与率を上げるなどして体験を促している。アプリと組み合わせた販売など、まだまだ新たな動きが出てきそうだ。さらに、スマートフォンについては、通販だけではなく、位置情報サービスや各種SNSを活用して集客に結び付ける「OtoO(Online to Offline)」の動きにも注目したい。
販促会議では2月号より、誌面で紹介したプロモーションの成果を独自にリサーチする新連載「TOP PROMOTIONのその後」をスタート。創刊15周年を迎える今年も、読者の皆様が結果を出す、効果を上げるためのアイデアや企画に役立つ情報を力強くお届けしたい。
月刊「販促会議」編集長 中澤圭介
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